19 / 111

第19話 めちゃめちゃ楽しい!

すげー! すげー!! すげー!!!!! アールサス様の錬金術、目の前でみちゃったよオイ!!! うわぁ、錬金ってあんな風にできるんだ。 ゲームではアールサス様が作った錬成物を買ったり、依頼した物を受け取るだけで、どんな風に作られてるかなんて考えた事無かったけど……あんなにワクワクするものだったなんて。 いきなり素材を釜にぶちこむんじゃなくて、すりおろしたり煮沸したり混ぜたり……下準備してから釜を使うんだって初めて知った。 釜の中がグツグツ言ってた。なんか嗅いだことも無いような不思議な匂いがして、その匂いもめまぐるしく変わってた。 釜の中で何が起こってんだか知らないけど、ぼんやり発光したり、閃光が走ったり、これぞファンタジーって感じだった!!! オレの中のゲーム大好きだった記憶がゴリゴリに蘇ってきて、溢れる好奇心が抑えられない。 しかもアールサス様は自分で分かってるのか分かってないのか不明だけど、多分特殊な能力を持っている。さすが攻略対象者といったところだろう。 前世の記憶を取り戻してからオレも色々書物を調べてみたけど、錬金ってのは本来不自由で、アールサス様がして見せてくれたみたいに全部の付加効果を活かすこともできないし、品質値もあんなに高くはできない。 しかも、あとからコピーするみたいに同じ物を作るなんて出来ない筈なのに。 オレのマジックバッグの中にはまったく同じ品質、付加効果を持ったポーションが計11個も入っていて、こんなにも高品位なポーションなんてゲームの中でも見た事がなかったオレは完全に舞い上がっていた。 アールサス様凄い!!!! めっちゃ尊敬する!!!! しかもあの欲のなさ。 「あげるよ、持って帰るといい」だってさ! いやもちろん金は払ったけども。 ゲームの中ではあれだけがっちり課金させられてたのに、やっぱりアレは借金がキツかったせいで、返済しようと頑張ってたんだろうなぁ。お父様が返済を迫るとは思えないから、多分オレに嫌味を言われてたか、オレとの婚約が嫌だったか……いや、両方かな。 とにかく、オレはもうアールサス様に借金の事で肩身の狭い思いはさせたくない。 アールサス様の才能が詰まったこのポーションたち。絶対にオレが金の卵に変えてみせる。 たいしたスキルがあるわけじゃないけど、前世のオレは営業職だった。豪商の父親を持ってはいても、商売の経験ゼロのただの学生だったオレでも、その記憶を使えば少しはマシな営業活動ができるだろう。

ともだちにシェアしよう!