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第24話 特別扱いの自覚
それまでとはちょっと違った含みのある笑顔を見せたショーンさんは、「ただ……」と続ける。
「これだけの品だ、隠し通す事は難しいかも知れない。君の場合はデュークを隠れ蓑にできる部分もあるから、出来るだけ長期間隠せるように私も手を尽くそう」
「ありがとうございます……!!!」
「言っておくが錬金術師を匿うつもりなら、その分君が表で危険な目に遭うかも知れないよ」
「覚悟の上です。護衛にもついてもらってるけど、できるだけ自分の身は自分で守れるように、少しでも早く強くなれるように頑張ります……!」
「ふふ、頼もしいね。破天荒なデュークの息子が意外にもしっかりした子に育っていて嬉しいよ」
優しい顔で頭を撫でられてびっくりした。まるで親戚のおじちゃんみたいな表情だった。
「商売は、客にも、取引先にも、もちろん自分にも益がないと意味がない。ただし、欲と名声はほどほどに育てていかないと商売敵に足元を掬われる。危険だから気をつけるんだよ」
「はい……!」
「グレイグ君」
「はい!」
急に話しかけられて、グレイグがびっくりしてる。あ、グレイグも緊張するんだな、ってちょっと面白かった。
「この子の事、よろしく頼むよ」
「はい!」
「危険は承知で引き受けた案件だろうが……」
威勢のいいグレイグの返事に、ショーンさんがくす、と小さく笑って目を細めた。
「でも、まだ君達は子供だ。自分だけでは解決できない事も多くあると言う事を強く自覚しておくんだよ。困ったら、今日のように気兼ねなく私を訪ねなさい」
「はい!」
「ありがとうございます!」
「頑張って」
ふふ、と微笑んで送り出してくれるショーンさんはなんだかとても頼もしかった。
商業ギルドを出て、そんなに距離が離れていない冒険者ギルドに歩いて向かいながら、グレイグがポツリと言う。
「お前、大事にされてんなぁ」
「?」
「普通に冒険者や商人になっても、あんなに手厚いサポートなんてどこをどう探したってねぇぜ。困ったらいつでもおいで、子供なんだから、なんてギルドマスターに言われてんのはお前くらいだよ。そもそも資格取った時点でカモにされようが死のうが自己責任の世界だからな」
「ああ、それは確かにそうだよね。そこはもう、お父様に感謝って言うしかない」
「……」
「特別扱いして貰えてるのは自分でも分かってる。その分やっかまれる事も多い筈だからグレイグにも迷惑かけちゃうと思うんだけど……よろしく、お願いします」
改めて頭を下げたら、グレイグは「しょうがねぇなぁ」って苦笑した。
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