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第26話 言うじゃねぇか

「ああっ!」 「慌てんな。毒は入っちゃいねーんだろ?」 分厚い唇を器用に上げてニヤッと笑うと、ますます凶悪な顔になる。笑顔が怖いってくらいの言葉じゃ言い表せないレベルの怖さなんだけど。 「毒なんか入ってないですけど、貴重なのに。ケガしてない人に飲んでほしくない、です……」 睨まれて、語尾がちっさくなってしまった。 「言うじゃねぇか」 「すみません……」 「冒険者に試して貰って意見が聞きたいんだろ?」 「はい……」 「ま、たいしたもんじゃねぇがさっき冒険者同士の喧嘩を仲裁したからちょいとケガはしてたし、書類仕事で疲労も溜まってる。被験体としちゃあ確かにイマイチだが、『ギルドマスターのお墨付き』っつったらハクがつくぜぇ。覚えとけ」 「はぁ……」 そりゃあ、箔がつくのは間違いないだろうけど。 「お前、コレをいくらで売るつもりだ」 「えっと……これは試飲用なのでちっちゃいですけど、普通のポーションと同じ量の物を、最終的には普通のポーションの2~3倍の価格で販売できたらと思っています。ただ、このままじゃなくて冒険者の人たちにご意見を色々貰いながら性能や価格を検討して……」 「アホか」 「へ?」 「お前、そのマジックバッグの中に試飲用のを入れてるんだろ。全部出せ」 また一瞬迷ってしまった。ギルドマスターの人たちってなんかこう、試すような事するよなぁと思うけど、結局は正直に見せるしかない。しぶしぶテーブルの上に今日持ってきた物を全部並べる。 「これで全部か? 隠してねぇだろうな」 睨まれて、ちょっとムッとした。なんでそんな犯罪者みたいな言われ方しなきゃならないんだ。感じ悪いなぁ。 「持ってる分は全部出してます。家にはまだ数本ありますけど」 「ふぅん、家に置いてあるのも品質や付加効果は同じだろうな」 「同じですけど」 「じゃあそれも全部持って来い。ギルドで買い取る。試飲はナシだ」 「はぁ!!???」 「悪い取引じゃねぇぜ。お前が売ろうとしてた、ポーションの3倍って価格よりも高く買い取ろうじゃねぇか。5倍の500ダラでどうだ」 「500……」 「1本あたりな。それだけの価値があるって言ってるんだ」 オレは口をポカンと開けた。確かにすごい付加効果だし、品質値も高いけど、まさかそこまでだとは。 「お前、ハイポーションの値段は知ってるか?」 「はい。確か1000ダラです」 高いから買った事ないけど。 「そうだ。ポーションの10倍だよな。で? 回復量は?」 「ポーションの3倍だったと思います」

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