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第28話 オレ、楽観視してたんだ

オレは、きっとこの世界をナメてたんだ。 この国でも有数の財力を持つお父様に守られて、危険な目になんて遭った事なかったし……前世の記憶でも、いきなりそんな危険な事になるなんて想像出来なかった。 オレはバカだ。 グレイグだって言ってたじゃないか。俺にはハナから護衛がついてるって。グレイグはもっと側で守るための護衛なんだって。 それを真剣に捉えずに、楽観視してたんだ。それぐらい危険な環境だって事、理解ろうともしないで。 「秘密にしてぇって事はお前、その錬金術師を守りてぇんだろ?」 「はい……」 グスッと鼻を啜り上げる。いつのまにか、勝手に涙が出ていた。 「もっと慎重になれ。世間ってのはお前が考えてるほど甘いとこじゃねぇんだ」 「はい……ごめんなさい……」 「分かったならいい。まったく、デュークは放任だわ、ショーンは嫌な役回りを押し付けやがるわ、散々だぜ」 盛り上がってきた涙でぼやけてるけど、ギルドマスターは苦々しい顔をしてるみたいだった。ショーンさんに何か言われたんだろうか。 「……ショーン、さん?」 「ああ、通信機で事態を甘く見てるみたいだから言い聞かせてあげてね、私では迫力に欠けるだろうから、とかなんとか適当な事言いやがって。アイツは昔っからオイシイとこだけ上手に持ってくヤツだった」 ブスッとした顔でショーンさんへの不満をぶつぶつ言ってから、ギルドマスターはオレの頭をガシッと掴んだ。その拍子に我慢していた涙がさらにボロボロとこぼれ落ちる。完全に涙腺は決壊していた。 「いいか、ぼうず。その錬金術師はとんでもねぇ逸材だ。囲い込んで、絶対に逃すなよ」 「グスッ」 声も出ないのに頭を掴まれてて頷くこともできない。鼻を啜る音が返事みたいになった。 「危なすぎるから状況が詳しく分かるまでは勝手にソイツが作ったモンを販売するんじゃねぇぞ」 「グスッ」 「まずはその錬金術師に何ができるのか聞いて来い。話はそれからだ」 「グスッ」 「あと、作ったモンで売りたいモンがあるならそれも聞き取って来い。上級過ぎるモンは俺かショーンが買い取る。分かったな」 「グスッ、グスッ……」 「ああもう、泣くな。泣いても始まんねぇだろうが」 厳しい事を言いながらも、ギルドマスターはポッケから取り出したハンカチでオレの顔をグリグリ拭いて、涙と鼻水を拭ってくれた。この熊みたいなむくつけき大男が、可愛らしいハンカチを持っていた事に驚愕した。 「分かり、ました……」 グスッ、とまだ鼻を啜りながらも、やっと言葉が出てきた。

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