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第29話 ごめんねグレイグ

「ありがと、ございました……」 「分かったならいい。無茶すんなよ」 「はい……」 「お前が無茶したらグレイグも、その錬金術師も、一蓮托生で危険な目に遭うって事、肝に銘じとけ」 「はい……っ!」 また新たな涙がボロボロボロッとこぼれ落ちた。 オレは本当にバカだ。 今日のことは絶対に忘れない。オレの戒めになる出来事だって、胸に強く刻み込んだ。 ギルドマスターから今あるポーションの分のお金を貰って、涙がおさまってからギルドを出る。トボトボと草原に向かって歩きながら、オレはようやっと口を開いた。 「グレイグ、オレ……ほんとゴメン……」 「謝んなって。俺だってあそこまで危険だなんて思ってなかった。お互い様だ」 グレイグは優しい。……いや、ショーンさんだって、叱ってくれたギルドマスターだってすっごく優しい。 でも、それに甘えてちゃダメなんだって痛いくらい分かった。 「オレ、もっともっと、いっぱい考えて動くから……!」 「分かってるって。俺も気をつける、一緒に頑張ろうぜ」 見上げたら太陽みたいに明るくて頼もしい笑顔があって、また泣けた。 「しょうがねぇなぁ。ギルドマスターの気持ち分かるわ」 今度はグレイグがポッケからハンカチを出してくれる。申し訳ないなぁと思いながらも借りて涙を拭っていたら、ポンポンと元気付けるように背中を優しく叩かれた。 情けないし恥ずかしい。 拭いても拭いても出てくる涙を拭いながら、それでもしっかり採集だけはこなして家路へとついた。 *** 「そっかー、怒られたか!」 「うん、めちゃくちゃ怒られた。オレ泣いたもん」 その夜の夕食時、早速オレはお父様にその日あったことを報告していた。 「冒険者ギルドのマスターっつったらフレイアか」 「フレイア……」 「そう! アイツあんな熊みてぇな顔して女神様の名前貰ってるんだぜ。生まれた時は女神みたいに愛らしかったらしい。まさか親御さんもあんな熊みたいに育つとは思ってなかったんだろうなぁ」 ガッハッハ、と笑ってお父様はオレの頭をわしゃわしゃと撫でる。 オレが落ち込んでたから、ちょっと笑える話をぶっ込んできたのかも知れない。お父様はバチン! とウインクして「あいつにはベアって呼べって言われてるから、今のはナイショな」って笑ってくれた。 「ベアの方がソレっぽい」 オレも、ちょっと頑張って笑顔を作る。お父様は嬉しそうに笑ってくれた。 「だろ! しかしまぁ、叱ってくれたのはありがてぇな。確かにヤバかったかも知れん」

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