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第40話 心配しなくていいのにな

アールサス様の顔がさあっと青くなる。思いのほか心配性でびっくりした。 「でもオレ、早く強くなりたいし。いい素材を手に入れるためには、少々の危険はつきものでしょう?」 「だが! 魔物と戦ったりするんだろう?」 「まぁ、それなりに。まだ全然低レベルの魔物ですけどね。これでも筋がいいって褒められるんですよ」 「その護衛にか……! ウルクがケガしてるのを平気で見ていられるなんて、これっぽっちも信用できない」 「だからそういう契約なんですって。騎士科でちゃんと学んでるからか、オレと同い年なのにかなり腕が立つ冒険者なんです。お父様が雇うくらいなんですから実力は確かだと思います」 「ボルド氏は何を考えているんだ……!」 苦虫を噛み潰したような顔で、アールサス様が唸る。 アールサス様は貴族だから、冒険者みたいに魔物をぶった斬って素材を確保するなんて、想像できないんだろうなぁ。剣や乗馬を習ったり、狩を趣味とする貴族も多いと思うんだけど、アールサス様やそのお父様は儚げで嫋やかだから、体を使う系の事には触れてこなかったんだろう。 肌、真っ白だもんね。 「……待てよ」 アールサス様がポツリと呟いた。 「そいつとは毎日一緒なのか」 「はぁ、まぁ、毎日採取に行ってるんでほぼ毎日。こうしてアールサス様のお屋敷に来る時はお休みですけど」 僕から目を逸らして何やらボソボソと独り言を言ってるらしいアールサス様から、ギリ……歯ぎしりみたいな変な音が響いた。 え、何? 怖い。 「まさか」 アールサス様がオレをキッと睨む。 「学園で一緒にいた、背の高い男か! ウルクに馴れ馴れしく触れていた……!」 「馴れ馴れしくって……あー……肩組んだりはするかなぁ確かに。あの、地味目のダークブラウンの髪で、オレより頭ふたつ分くらいおっきい人なら、多分そうです」 「あいつか……!」 思い当たる節があるらしい。もしかしたらアールサス様が学園で見かけたって言ってたのは、グレイグと一緒にいるところだったのかも知れない。 「随分と仲が良さそうだった」 「割と気が合うと思います。とりあえずコミュニケーションをちゃんと取っておかないと、魔物と戦う時に連携がうまくいかなくて危険ですし、もっと……阿吽の呼吸になれるくらいが理想ですけど」 「もっと? あれよりもっとか?」 「あれって……オレ、なんかしてました?」 「あの男、気軽にウルクの肩を叩いたり、随分と顔を近づけたりしていたぞ」 え……その程度で? むしろ驚愕した。

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