アールサス様の練成物を買い取ることが出来るなら、オレだって素直に嬉しい。 「定期的にお伺いするので、アールサス様が売りたい物がある時には仰っていただければいつでも買い取りますよ。もちろん今すぐ売りたいという場合には呼んでいただければいつでもお伺いしますし」 「うん。よろしく頼む。僕が必要な素材も用意してくれるか？」 「はい、もちろん！　オレが採集できそうなら採ってきますし、無理なものは買ってくる事もできますし。期限だけ教えてくださいね」 「分かった。ありがとう」 アールサス様が、初めて晴々とした笑顔を見せた。 こんな明るい、屈託のない笑顔、初めて見たな……とちょっと感動する。オレもついニコニコしながらアールサス様のレア笑顔を眺めてたら、大変な事を思い出した。 「あ、ヤバ」 「？　どうした？」 「あ、いやー……、色々忘れてたな、と思いまして……」 思わず歯切れが悪くなる。 アールサス様の表情の変化に翻弄されて、大事な事色々まるっと忘れてた。 「あの……ギルドのマスターから実は諸々指令を受けてまして」 「なんだ。なんだか言いづらそうだな」 バレてる。とりあえず簡単な方から片付けていこう。 「まず、これ。ポーションがめっちゃ高く売れたから、アールサス様にも還元しようと思ってたんです」 じゃらじゃらとお金を渡す。 「えっ、こんなに？」 「まだ二本分しか売ってないんで、まだまだ貰えます。それだけの価値がある、ってギルドマスターが言ってました」 「すごいな……ああ、でも、ウルクが預かっておいてくれ。買って欲しい物の代金をそれから払ってもらう事はできるだろうか」 「いいですよ。では、錬成物を売った代金と、素材を購入した代金の収支がわかるように、次に来た時に報告書をお持ちしますね」 「別に、そこまでしなくてもいいけど……」 「こういうのは！！！　しっかりやっておかないと後々揉める事になるんで！！！！」 「そ、そうか。ならば頼む」 「任せてください。あと、アールサス様が不必要な錬成物があったらソレも聞いて来いってギルドマスターから言われたんで、そういうのがあるならオレが今日帰る時に持って帰りますよ」 そう言うと、アールサス様はちょっぴり眉根を寄せた。 「その、顔も知らないギルドマスターとやらには売りたくない。ウルクが売ってくれるんだろう？」 「それなんですけど……実は、危なすぎるから状況が詳しく分かるまでは勝手にアールサス様が作った錬成物を販売しちゃダメだって言われてたの、忘れてて……」 「はぁ！？」