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第60話 めっちゃ難題……

ショーンさんは微笑みながら頷いてて、ベアさんはフン、と鼻をならして面白くなさそうにオレを見ている。 「ただし、相手にも都合や欲があるからな。別に悪意があるわけじゃなくても、いつでもお前やアールサス様のためになる事だけ言ってるんじゃないって事だけは理解しておけよ」 お父様の言葉と同時にショーンさんの笑みが意味ありげに深くなって、それが現実なんだなってなんとなく理解できた。ちなみにベアさんは小さく舌打ちしてる。その真意はオレ程度じゃ分からなかった。 「う……はい……」 小さく返事をする。お父様の言う通りだとは思うけど、それ判断するってめちゃくちゃ難しいじゃん……。 そう思ったのが顔に出てたのか、お父様がちょっと苦笑した。 「まだお前には難しいかも知れないな。というか、俺ですら未だに商談の度に神経をとがらせてる部分だから、そう簡単に正解なんて分からないだろう。だがだからこそ一生懸命考えて、後悔しないでいいように少しでもより良き道を選べるように頑張りなさい」 「はい……」 「さて、それを念頭に置いて、だ」 いよいよ本題だ、と言わんばかりの顔でお父様がオレの目を覗き込む。 うう、緊張するなぁ。 「まずは冒険者ギルドからの要望を伝える。ベア」 「おう。『効果2倍』のポーション20本と、『疲労回復』付きのポーション30本、どちらも品質値は30程度で充分だ。この2種類を毎月納入して欲しい。できるか?」 「……初めての事なので、一旦アールサス様と相談してからでもいいですか?」 「ああ、構わねぇ。うまく話が纏まればこの2種類は冒険者ギルドの売店で継続的に販売する」 「えっと……買い取り価格は?」 「ふむ。『効果2倍』は200、『疲労回復』は100で買い取ろう」 「……」 オレは一生懸命考えた。 ポーションの買い取り価格50ダラで、売値は100ダラ。倍の価格で販売してる。 ハイポーションの買い取り価格300ダラで、売値は1000ダラ。回復量はポーションの3倍なのにだいぶ高い。それに売値の3倍以上もの価格で売られてる。 今回のはポーションで品質も普通。だけど付加効果はかなりいい。提示された金額は一見妥当な気もするけど、なんとなく腑に落ちなかった。 「あの……付加効果がついた一定の品質のものを継続的に納品するんですよね?」 「そうだ」 「品質とか付加効果とかが適当なものを数だけ揃えるよりも大変な筈だから、もう少し色をつけてくれませんか?」 「……」 ベアさんが、人を殺しそうな顔で睨んできた。 「ふふっ」 ショーンさんが楽しそうに笑う。

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