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第64話 ショーンさんの査定

あの日はすっごくダメダメな一日だったと思ってたけど、こんな風に良かったところもあるんだって分かると、なんだか救われたような気持ちになった。 「だってあんなすごい魔物、オレ程度のレベルじゃ滅多に会えないから……丁寧にやらなきゃ勿体ないよ」 「ちょっと待って、食人花って何?」 照れるオレに、ショーンさんが今までで一番真剣な顔でにじり寄ってきた。 「そんな素材が持ち込まれたとは聞いていないよ?」 近寄ってくる笑顔が怖い。 「えっと、滅多に採れない素材だから、まずアールサス様に見せて、必要なものを取ってもらってからギルドに出そうかと思ってたんですけど」 「本当に君はアールサス様が一番なんだねぇ、涙ぐましい」 苦笑されちゃったけど、それはだって、そもそもオレはアールサス様の素材を採るために冒険者になったんだから当たり前だ。 「ではそれでいいけれど、今その素材はそのマジックバッグに入ってる?」 「はい」 「見るだけ見てもいいかな。実際に君の素材を見てみたい」 「……はい」 うわぁ緊張する。でもあんなに大量の素材、どう見せればいいかなぁ。あ、でもアールサス様に渡すときも結局そうなるのか。とりあえずサンプルとして小さな物を並べていくしかないかなぁ。 「えっと、すっごい大きい食人花だったから大量にあるんで、見本にちっちゃいヤツ出しますね」 「ちなみにどれくらいの体長の個体?」 「俺でも見上げるようなデカさでした。通常なら森のかなり奥の方でしか出ないような。多分獲物を追って中域に出てきたんだと思います」 グレイグが的確に報告してくれる。やっぱり冒険者としての歴が長いから、言い方が堂に入ってるなぁ。 「それは運が悪かったね。いや、倒せたんだから運が良かったと言うべきか」 「……よく生きて帰って来てくれた。死んでもおかしくない敵だぞ」 「正直俺も死を覚悟しました。でもウルクがすごい火炎球持ってて、それで大ダメージを与えられたから、なんとか勝てたってだけで」 グレイグがマスター達と話してくれている間に、オレは黙々と素材を並べていく。もうちょっと小ぶりに切り分けとけば良かった。でも、時間も限られてたしなぁ、とか考えながら。 「……ほう、なるほど。切り口も綺麗で迷いがない。繊維をできるだけ傷つけないように処理されているし、パーツ分けもなかなかだ。本当に、日が浅い割にはよく解体できている」 「本当ですか!」 「コイツはこういう事では嘘はつかないよ」

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