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第78話 オレの事好きになってくれたらいいのに

「すまない、不快だったかな」 「不快なわけないじゃないですか! ……ちょっと恥ずかしいのは恥ずかしいですけど」 「良かった」 正直言うとオレの方がレアなアールサス様の学園でのお食事姿をじっくり見たいと思ってるんだけど、オレが今それをやったら見つめ合うイタい感じになっちゃうから、とりあえず食べるしかなくて困るってだけだ。 「それよりもアールサス様。アールサス様も早く食べないと、お昼休み終わっちゃいますよ」 「うん。そうだね」 ニコニコしてるアールサス様、可愛いなぁ。アールサス様がちゃんと食べ始めてくれたから、ようやくオレもアールサス様を盗み見ることができるようになった。 やっぱり眼福だ。 「あ」 アールサス様を見ていたら、ふと思い出した。渡す前にここに連れてこられたから、結局素材渡してなかったな。何しに来たんだよ、オレ。 「? どうかしたか?」 「ごめんなさい、結局まだ素材渡してなかったです」 「確かに……! 僕こそすまない、せっかく持ってきてくれたのに、ウルクと学園で食事できるのが嬉しくてすっかり飛んでしまっていた」 隙あらば一緒に居られるのが嬉しい、的な事を言ってくれるのが幸せ過ぎて、心臓がどきどきしてしまう。これってマジでアールサス様、オレの事気に入ってくれてるんじゃないかな。 できる事ならこのまま、オレの事好きになってくれたらいいのに。 そんな夢みたいなことを考えながら、アールサス様の前にマジックバッグを献上する。アールサス様はすっごく嬉しそうに笑ってくれた。それだけの事が、すごくすごく幸せに感じられる。 「中を見てもいい?」 「もちろんです!」 マジックバッグの中を見たアールサス様の瞳がキラキラと輝く。 「これは……すごい量だな」 「あ、『メモ』も一緒に入れてあるんで、それ見てもらえると何が入ってるのか一覧できます。揃った素材は余剰分も持って来たんで、要らない分はまたそのバッグに入れて返して貰えれば、オレが露店かギルドに売りますんで!」 「ふふ、付加効果まで丁寧に書いてある。ウルクは優しいな」 「あ、そうだ!」 「どうした?」 大切な事を思い出した。 お父様がアールサス様に錬金術の聞き取りをしていた時、確かアールサス様は『一度錬成したことがある付加効果を記憶して、自由に他の物にも付与できる』って言ってた。 普通の錬金術師にはとてもそんな事できない、アールサス様だけの特殊能力だ。 そんな便利な能力、極めてナンボだと思う。

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