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第82話 初めての露店販売
「で? こっちの薬草類はここでいいのか?」
「うん!」
なんだかんだ言いつつも露店の準備まで手伝ってくれてるグレイグは、本当にいいヤツだ。
最初は「休日だからいいよ、休んでて」って言ったんだけど、グレイグが「危なっかしいから俺も行く」って言ってくれたんだよね。
この費用はお父様からは支払われないからオレが払うわけだけど、グレイグとは『売り上げの7%』で折り合いがついている。今日まったく売れなかったらオレも大赤字だけどグレイグまでただ働きになってしまう。
責任重大だ。
「おー、ここかぁ?」
「頑張ってんじゃねぇか」
店を開く前の準備段階から、冒険者のおっちゃん達が店を覗きに来てくれる。ちょくちょく冒険者ギルドで「一日限定で店を開くんだ」っておっちゃん達に宣伝しといて良かった。
「えへへ、お父様が紹介してくれた錬金術師から買い取った、面白い錬成物が色々あるんだ。見てってね!」
「ま、あんま金はねぇけど、坊主がせっかく店を出したんだ。安いので良けりゃあ買ってってやるよ」
「ありがとう! 絶対損はさせないからさ!」
「そりゃあ楽しみだ」
もっさい髭面のおっちゃん剣士と筋肉隆々の重量級斧使いの攻撃特化型パーティーの二人は、興味津々の顔で店に並ぶ商品を覗き込む。
「へぇ、このラベルはついてる付加効果が書いてあんのか? 意外とちゃんとしてるじゃねぇか」
「書いてある方が買う時も使う時も便利かなって思って」
「違いねぇ」
「……っていうかコレ……」
斧のおっちゃんの方が、ポーションの小瓶を見て目を丸くする。
「この書いてある付加効果、本当だろうな」
「うん! これはオレが採取した素材で作ってもらった錬成物だから間違いないよ。『付加効果がうまく残った』って言ってたし、よくできたポーションだと思う」
「運が良かったなぁ。こんなにいい付加効果が残るのは珍しい」
「そんな凄いのか? なになに……『疲労回復』『解毒』!!?? こりゃあスゲーや!」
「品質値も高いから普通のポーションよりも回復力高いと思うよ。いざって時に使えると思うんだよね。おっちゃん達ってたしか回復役の人いないよね。持っとくと安心だと思うけど」
「ほぅ、ちゃんと覚えてんのか」
「そりゃ覚えてるよ。オレとグレイグも攻撃特化型パーティーだから、おっちゃん達を参考にしようって思ってたもん」
「なんだよー、可愛いこと言いやがる」
ひげのおっちゃん剣士がオレの頭をグリグリ撫でる。硬くてでっかい、戦いまくってきた手だった。
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