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第83話 売るのって楽しい!

「よっしゃ、今の言葉を信用して買ってやる」 「ホントに!?」 「おう! この品質と付加効果なら安いくらいだしな」 「そうだな。これと……そっちの品質値だけ高いやつを2個、まとめて買っとくよ」 「ありがとうございます! わーい、初めてのお客様だ」 「頑張れよ」 「他の奴らにも宣伝しといてやる」 「よろしくお願いします!!!!」 体が折れそうなくらい頭を下げて、感謝の気持ちを伝える。おっちゃん達は大きく手を振って帰っていった。その姿を見送って、オレはグレイグに飛びつく。 「うおっ!」 「やったー!!! 売れた!!! 売れたよ!!!!」 さすがはグレイグ。オレの体をしっかり受け止めてくれた。なんか苦笑いしてるし、オレの喜びように比べたらグレイグはめちゃくちゃ落ち着いてる。 「良かったな」 「うん!」 今度は飛び降りるようにストンと着地して、買われて空いた所にマジックバッグから新たな商品を補充する。これで売上ゼロって事はなくなったと思うと安心する。ドキドキがちょっと軽減して、やっと落ち着いてきた。 あー良かった。安心した! 「お前、すげぇな」 「え? 何が?」 「いや、商売人だな、ってちょっと感心した」 「オレなんにもしてなくない? 商品がいいから売れたんだよ。すごいのはアールサス様」 「いや……ま、いいか。とりあえず売れて良かったな」 「うん!!!」 「あの人たち冒険者仲間の中でも顔がきくから、午後からは期待できるかもな」 「そうなんだ。いっぱいお客様が来てくれるといいなぁ」 なんて話をしているうちに、またもお客様が来てくれる。今度は綺麗な……商業ギルドの受付のお姉さんだった。 「わ、お姉さん来てくれたんだ!」 「ええ、今日ウルク君が露店を出すのを楽しみにしていたのよ! うちのギルドマスターが面白い物を売ってるかも知れないって言ってたから」 「ええっショーンさんが? 嬉しいなぁ。それでお姉さんはどういうのが欲しいんです?」 「どれっていうのはないのよ。たんに置いてある物を見たくて」 「じゃあ自由に見ていってくださいね。……あ! でも女の人にいいかもなって思ったのがいくつかあるかも」 「まぁ、どれ?」 「えーと、この辺りにおいてあるのが香水とか化粧水とか保水クリームとか……美容にいい物も置いてみたんです」 「やだ何これ! 付加効果『ツヤツヤ』って、お肌ツヤツヤって事?」 「ですよー! 嬉しくないです!?」 「あら『プルプル』もある。『みずみずしい』『もちもち』……『輝くような』!? うふふ、なんだかお店の呼び込みみたいね」

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