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第98話 すっっっっごく!!! 伸びる!!!
「まだ研究途中だから、着心地とか使い勝手とか改良できるところがたくさんあると思うんだよ。使ってみて、意見を聞かせて欲しい」
「分かりました。どこで着替えたらいいですか?」
さすがに下着以外は全部脱がないとこれは無理だ。さりとてアールサス様の前で脱ぎ着するのはお目汚しになってしまう、と考えたんだけど。
「? ここで着替えたら? 恥ずかしいなら向こうを向いておくよ?」
なんとも寛大なお答えをいただいた。
「アールサス様が気にならないなら」
「全然。というかむしろ、ウルクが嫌じゃないなら使っているところを見たい」
「ああ、オレは別に。じゃあ着替えますね」
「ありがとう」
アールサス様が手渡してくれた全身タイツはすごく手触りが柔らかかった。
「うわ……」
思わずため息が漏れる。
「どう?」
期待と不安が入り交じったような顔で、アールサス様が聞いてくる。
オレは、受け取った全身タイツをちょっと引っ張ってみた。びよーん! と信じられないくらいよく伸びる。
「ええ~~~~!!!?? すごい!!! 本当に!! すっっっっごく!!! 伸びる!!!」
「剣を振るうのに動きを阻害するようなものじゃ良くないと思って、すごく伸びる素材を作れないかって研究してるんだ」
「アールサス様、すごい……!」
「褒めるのが早いよ。まだ着てもいないのに」
褒められて照れくさいのか、アールサス様はちょっと頬を染めて微笑む。
「とにかく、着てみて。いつも頑張って素材を集めてきてくれるウルクのために、最高のインナーを作りたいんだ」
「……!」
感動で言葉が出ない。
早速パンツ一丁になって、ゆっくりと爪先から足を入れていく。スルン、と足を入れてみるとなんともスベスベ。つるんとしてるのにびっくりするくらいフィットする。足の指をグーパーしてみたら、なんの抵抗もなく足指が開く。
「これ、ホントにすごいかも! 確かに動きは阻害しない気がする。靴を履いた時に滑らないかとか、戦闘時の動きに問題がないかとかは後で検証しますね」
着ていくときにも全然抵抗がなくて、するん、つるんとした肌触りなのに冷たくも温かくもない。摩擦も感じなければパチパチするとかも感じない。ついでにびよーんと伸びるから赤ちゃんサイズだと思ったのに本当に腰まで着ても上半身はちゃんと服の形で残ってる。
でも、きついとか締め付ける感じがあるとかも一切無いから、本当に着てることを忘れてしまいそうだ。
嘘みたい。
「わ、手の部分は指もちゃんとあるんだ」
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