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第99話 改良できる余地あるかなぁ
「指先まで絶対に守りたいからね。これはすごく伸びる素材だけれど、指先ってやっぱり細かい作業ができるように指ごとに分かれてた方が良いし、その方が外から見て違和感もないしね」
「アールサス様、天才!」
思わず力一杯褒めたら、アールサス様は照れ照れと可愛らしく照れてくれた。
いや、でも本当にすごいよ、これ。
「喜んでくれて嬉しい。でも、少しでも改良点が見つかると嬉しい」
「何かあるかなぁ」
今のところ完璧すぎるんだけど。
「うーーーん……あ! そうだ、脱ぎ着とかトイレとかの問題があるから、上下分かれると嬉しいかも」
「なるほど、確かに。一日中採取で外にいることも多いんだよね」
「もう少し強くなったら、野宿しながら森の深部に行くこともあるかも知れないし」
「野宿……! あの護衛の男と二人で……?」
「そのつもりですけど、グレイグが言うにはオレにも何人か護衛がついてるみたいだから、結局は数人なのかな。オレもアールサス様の言う通り、そんなにたくさん護衛はいらないと思うんですけどね」
こればっかりはお父様が納得しないと減らしては貰えないと思うから、頑張って強くなるしかない。
「そうか、数人か。それなら安心だな」
アールサス様がホッとしたように息をつく。オレは情けなくなって内心ちょっとへこんだ。お父様にもアールサス様にも心配されてるこの状況、早くなんとかしたい……。
とは言え、アールサス様が心配してくれるからこそ、こんなに凄い全身タイツみたいなインナーも発明されちゃうんだよなぁ。
「良かった、問題なく着ることは出来るみたいだね。でもやっぱり肌色が結構違うな……僕に比べて結構黒い。会ったばかりの頃は僕より白いくらいだったのに」
促されて鏡を見てみたら確かに首までは白くて、顎の辺りから明確に色が違う。ここまでがインナーで、多分アールサス様の肌色と同じなんだろう。
「このところはほぼ毎日、採取で森や草原にいくから、どうしても日焼けするんですよね」
話しながら鏡の前でくるんと回ってみたり腕を上げ下ろししてみたけれど、腕なんて普通の肌にしか見えない。本当に真っ裸みたい。つなぎ目もなければボタンも合わせもないからかなぁ。
アールサス様、本当に凄い。
「ありがとう、とりあえず服を着て……」
若干赤い顔でアールサス様がオレの服を手渡してくれた。やっぱりアールサス様から見ても真っ裸に見えるのかもしれない。お目汚し申し訳ない、とんだ露出狂みたいな感じになってしまった。
オレのせいじゃないけど。
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