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第102話 煌めく湖面
「だから現時点で僕が持ってる『物理防御(小)』と『魔法防御(小)』は付加効果でつけたんだけど、理想には程遠い仕上がりで、ちょっと悔しいんだ。でも、着てないよりは全然マシだと思う」
「へ……?」
物理防御と魔法防御効果でつけたって言った? (小)だとしても、それはすごい事なのでは……!?
「え、それ凄くないですか?」
「本当はもっともっとすごい物ができる筈だと思うんだよ。でも…… 」
そこで急にアールサス様の声が止まる。何事かと思ってアールサス様を見上げたら、アールサス様の目はまっすぐに前を見つめていた。
「うわぁーーー! すごい!!! キラキラしてる!!!」
丘を越えた途端に突如眼前に大きな湖が現れたからだろう、アールサス様が歓声を上げる。目をキラキラさせて煌めく湖面を見つめる姿は、まるで子供に戻ったかのようにあどけない。
分かる。オレも初めて湖見た時、しばらく動けなかった。
「ここからだと湖が一望できてすごく綺麗ですよね」
「……!」
声も出ないのか、コクコクと激しく首を縦に振ってオレの言葉に同意を示すアールサス様、可愛い。
湖に引っ張られるようにアールサス様の足が動いたから、「走ります?」と聞いてみたら「うん!」と元気のいい返事が返ってきた。
「行きましょう!」
「うん!」
手をつないだまま、二人で湖の方へと一心に走る。なんだかアールサス様と一緒に走っているだけでとても楽しかった。
最初に湖を見た時オレももちろん興奮したけど、まだいつ出てくるか分からない魔物が怖くて、警戒心の方が勝ってた気がする。
湖って言えば水場だ。水を飲むために訪れた普段は見ないような魔物もいるかも知れない。そんな恐怖の方が強かったと思う。
今となってはこの湖に現れる程度の魔物だったら問題なく処理できるから、あの時ほどの怖さは感じない。アールサス様を守りながらでも、充分に戦える気がしていた。
既に見えている湖に辿り着くのなんて簡単で、あっという間に湖のほとりについた。
幸いにも水を飲みに来ている動物も魔物もいなくて、ただただ美しい風景が広がっているだけだ。アールサス様が言った通り、日の光を受けてキラキラと光る湖面が美しい。
「すごい……! 湖に近づいても良い?」
「はい、もちろん」
湖に引きずり込むような魔物がいないのは確認済みだ。なんなら水の中に手を突っ込んだってかまわない。
「この湖の中には魔物はいないし水質もかなりいいので、飲んでも水浴びしても大丈夫です」
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