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第103話 冷たくて気持ちいい

グレイグもそう言ってたし他の冒険者達の情報からも間違いない。 「さすがに水浴びはしないけど、でも水の感覚がどうなるのかちょっと手は入れてみたいかな」 「確かに! オレも!」 笑い合って二人揃って手を湖の水に入れてみる。 ひんやりと冷たくて気持ちいい。 けれど、中に沁みてくる様子も無ければ濡れた感じもしない。 「うわ……本当にゴムみたい。中に水が入ってこないんだ……」 「うん、水を弾くようになってるから、想定通りだね。でもちゃんと水も掬えるし、浸透したりふやけたりもしないから及第点かな。ほら、手を振ってみて。すぐに水が払える筈だよ」 「へー」 言われたとおりに手をぷるぷる振ってみると、水が弾き飛んで濡れた様子もなくなってしまった。 「うわ、ホントだ」 「走っても汗ばんだりもしないし、浄化作用もちゃんと働いてる」 思わず感動のまま漏れた声に、アールサス様が説明を加えてくれる。言われてみればその通りだった。 「そういえばあれだけ走ったのに蒸れた感じもないし、あんなにつるっと穿けたのに走ってる時は滑ったりすることもなかった」 「うん、動きを阻害することも無かったし、あとは『物理防御(小)』と『魔法防御(小)』がどれくらい威力を発揮してくれるかだな」 「ちょっと軽めに攻撃受けてみましょうか?」 効果が気になるみたいだったからそう言ってみたら、途端にアールサス様が鬼の形相になった。 「とんでもない!!!!」 「ご、ごめんなさい……」 「絶対!!! やめて!!!!」 「は、はい……」 「軽く受けるつもりで大けがなんかしたら、僕は後悔してもしきれないよ。着心地が悪くなかったらしばらくの間採取に行く時は着てみてくれれば、いざという時に守ってくれると思うから、その時の実感を教えて欲しい。それで充分だから……!」 すっごく心配そうな顔でそう言われたら、もう試しにちょっとだけ攻撃を受けてみるか、なんて二度と言えなくなってしまった。アールサス様が心配しないように、ちゃんと魔獣とは全力で戦おう。 「分かりました。無茶なんてしないんで、安心してください」 「絶対だぞ?」 「大丈夫です。アールサス様を心配させちゃうのが分かったから、無理はしません」 「良かった」 ホッとした顔のアールサス様を見て、とりあえずアールサス様の前でケガをしないように気をつけようと誓う。アールサス様を安心させるように笑って見せて、オレは湖の周りの素材を指さした。 「せっかく湖に来たんだから、素材を採取しましょう?」

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