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「おかーさま、おかおまっか!」 「おとーさま、いじめたー! おかーさま、かわいそー!」 息を整えている葵人を庇うように、二人がぎゅっと抱きしめてきた。 今の光景は、二人にとって"いじめた"ように見えるようだ。 「おかーさま、いいこいいこ」と新が撫でてくれ、「おとーさま、わるいこ! めっ!」と真が指差して怒っている。 大丈夫、と宥めたいところだが、全力で葵人に味方をしてくれている二人が嬉しくて、上手く声にならないのもあって、事の成り行きを見守っていた。 「別にお母さまのことをいじめたわけじゃないよ。そもそもだし。僕はそれに応えてしてあげただけ」 「どーゆことー?」 「つまりは、そうだな⋯⋯。お母さまはお父さまのことが好きだから、したってこと」 真の目線に合わせて膝を着いた夫が、穏やかに笑いかけていた。 聞き捨てならないことを言った。 酸欠状態で反応が遅れてしまったが、ふつふつと怒りが沸いてきた。 子ども達に平気で嘘を吐くだなんて! だから、子ども達の前でしたくなかったのに! しかし、元々自分が犯した罪だから、どんなに理不尽な条件であっても、碧人に反抗するのはおかしい。 そんな考えがよぎった途端、怒っても仕方ないと気持ちを切り替えて、いつまでも撫でてくれている新に、「ありがとうございます」とお礼に頭を撫でてあげた。 「おとーさま、ごめんなさい。なかなおりのぎゅーして?」 「いいよ」 真を抱きしめた直後、碧人と目が合った。 瞬間、意味深長な笑みを見せつけてきたのだ。 「な、なに⋯⋯?」 「いつどんな時に見ても、葵は可愛いなって」 「⋯⋯!」 急に何を言い出すのか。 冷めかけていた頬が再び熱くなってくる。 「おかーさま、かわいい!」 「えっ?」 「かわいい! かわいい!」 「えっ、えっ?」 撫でていた新と、碧人の腕の中にいた真が駆け寄ってきて、抱きしめてきた。 「「かわいー!!」」 揃って、胸に顔を埋めて言う二人に目を丸くしていたが、やがてふっと笑った。

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