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15.
「おかーさま、いいにおいするよー」
「······んっ」
「ほんとうだー。いいにおいー」
「······ひうっ」
足元に二人が抱きついて来る度に、前後の鉄の塊が刺激されて、いやらしい声を漏らしそうになるのを堪える。
この子達のすることはいつだって可愛いことだけど、今は離れて欲しいだなんて残酷なことを思ってしまう。
「ほら、大好きなお母さまにぎゅっとするのはいいけど、お腹が空いているんじゃなかったの?」
「そーそー!」
「いこいこっ!」
駆け出していく二人に「走ったら危ないよ」と言う碧人に耐えきれず、寄りかかった。
「なあに、葵。葵もぎゅっとしてくれるの?」
「······──して」
「ん?」
「もう、耐えきれないの。後ろだけでもいいから外し──」
「······葵はもっとお仕置きが欲しいようだ」
ぐっと寄せてきた時、静かに言った。
ぞくり、と背筋が凍った。
「ごめんなさいっ。外してだなんてもう言わないから、これ以上は······」
必死にしがみついて、許しを乞う。
目を細めて、思案しているような表情をしていたが、こちらに目を向けた時には、ふっと笑った。
「葵もお腹が空いているでしょう? 食べに行こうか」
葵にもあーんしてあげようか、と冗談混じりに歩を進める碧人に、ぼんやりとしたものの、慌ててその歩を合わせて共に向かったのであった。
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