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16.※自慰

遊び疲れた二人の寝顔を慈しむように見つめながら、時おり優しく叩いてやる相手を代えて、穏やかな時間を過ごそうとしていた。 だが、もう限界だ。 装着された時点から意識させられ、貞操帯だけであればどうにかなったもの、痛まないで済む体勢を取っても、今度は後ろからの責めに耐えきれず、結果、不自然な行動をしてしまい、何度子ども達に不思議そうな顔をされたことか。 起こさないようにと、下腹部に刺激を与えないようにと、そろりそろりと膝で移動し、そこそこ離れた箇所で緊張で鳴る心臓を沈めようと深い息を吐いた後、裾が翻ることなんて気にせず、足を開いた。 が、足首に短く縛られているせいで思うような体勢にはならず、両膝を着いたまま、刺激を与えようとした。 自然と持っていた手先に、当たり前にあった感触がなかったことで、戒められた中にあることに気づき、それならばと玉袋に触れた。 「ん⋯⋯っ」 竿と同じような快感が得られると、指先で軽く揉み、徐々に刺激を与えていく。 「んっ、ふ⋯⋯ぅ、⋯⋯あ、ふ⋯⋯」 もっと気持ちよくなりたくて、強い刺激を加えると、たとえ歯を食いしばっていたとしても声が漏れてしまい、それがきっかけで起こしてしまいそうだ。 袖口で口元を抑え、段々と強く揉む。 「あ、ふ⋯⋯っ、ん⋯⋯っ、んん、んっ」 あともう少し、もう少しで快楽の境地に──。 「⋯⋯っん!」 酷い痛みで一瞬にして快感が消え去った。 やっぱり、せめて栓を外して貰わないと発散されない。 中に挿入《はい》っていかないように、栓の根元部分にリング状のがあるのだが、それが貞操具を勝手に取らないようにと錠前と共に嵌められていて、自身では抜けることができない。 もどかしく思いながらも、いつまでも快楽に耽っていても仕方ないと、着物を整えている葵人の背後から、手が伸びてきた。 「──葵、何をしてるの」 体が石像になったかのように硬直した。 快楽に夢中になっていたから、すぐに気づけなかったのだろう。 迂闊だった。

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