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第13話

小さいホールケーキに『Happy Birthday』のプレート。ろうそくは二本。 「ケーキが小さいから二本にしたんだ。敬吾さんと僕それぞれ一本づつ」  照明を暗くしてろうそくに火を灯すと炎が揺らめいてとてもきれいで幻想的な気分になった。「おめでとう」と言いながらそれぞれ一本づつ消した。 「ケーキのろうそく消すなんて久しぶりだよ。かなり小さい子供の頃ぶり」 「そー言えば俺もだな。前はいつの時か覚えてないよ。有希と二人で互いに祝い合っていい思い出になるな。でも、来年からはそれぞれでするだろ?」 「うん合同もいいけど、敬吾さんの誕生日は、僕がしっかり計画してお祝いしたいんだ」 「俺もだ。有希の誕生日の方が早いからな、しっかり俺が祝いたい。合同は今年限りだな。だから今日の事は一生の思い出になるな」  ケーキは半分に切り分けて食べた。小さいけどホールケーキだから半分づつでもショートケーキよりは大きい。 「うまいな。ケーキなんて普段買わないからネットでみて予約したんだけど良かった」 「あーあっさりした甘さでうまいよ。フルーツもたっぷりだからぺろりといけたな。うまかったごちそうさん」  ケーキを食べ終えたらいよいよ本日のメーンイベントという感じでプレゼント交換になった。お互いに相手がプレゼントを用意しているだろうことは分かっていた。何だろう? そして自分のプレゼントは喜んでくれるか? ワクワクした気持ちで交換した。 「何だろう? 同時に開ける?」 「うわーシャツ!」「えっシャツ!」  同時に開けて驚いた。自分のプレゼントと同じシャツだったからだ。ブランドは違うし色も違うが同じアイテムにビックリした。  お互いにプライベートで着られるラフでおしゃれなシャツを選んでいた。相手が着る姿を想像しながら選んだ。自分もそうだったから相手も同じと容易に思えた。二人とも嬉しさがこみ上げた。 「同じ発想だったなんてビックリだね! 嬉しいよありがとう。凄いいいな大事に着るよ」 「ほんと二人ともシャツなんてな! あー気に入ってくれて良かった。さすが有希はセンスいいな俺も嬉しいよありがとう」  お互いが相手に選んだプレゼントが同じシャツだったことは、盛り上がっていた合同誕生会をさらに最高のものにした。二人の間には甘くも隠微な空気が流れた。  敬吾は有希の肩を抱き寄せ激しく唇を奪った。貪るような口付け。男が男にするキスだった。  有希は必死に応えながら今までいかに手加減されていたかを思い知った。男相手に経験のない自分に優しくしてくれたのだ。しかしこうして激しく求められるのも嬉しかった。有希はその先を望んだ。有希の望みは有希の中心に形として現れた。 「あっああ……ああーっ……もっもうだ……だめ」 「だめじゃないだろ。ここはいいって言ってる」  そう言って敬吾は服の上からも兆していることが分かる有希の中心に触れた。 「……ここじゃいや」  有希は明るいリビングでは抵抗のあることを甘い声で訴え敬吾に抱きついた。キスだけでグダグダになった有希は身体に力が入らない。  敬吾は有希を抱き上げベッドに運んだ。服と下着も脱がせると反り返った有希の高ぶりが現れた。敬吾は愛し気に口づけ舐め上げると口の中に呑み込む。  ねっとりとしゃぶりながら唇を最初はゆっくりと、徐々に激しく上下させ有希を追い込んでいく。 「あっつああ……あーだめっ……いっいく……いくから」  喘ぐ有希をしっかりホールドしてさらに口で追い込んでいくと有希は敬吾の口の中で果てた。  口でいかされるのは抵抗があったが有希は成すすべもない。酩酊にもにた快感に身を任せていると敬吾に身体を裏返された。最初の時もそうだったが後ろからされるのだろう。恥ずかしい。だけど敬吾を受け入れたかった。身体を繋げることで愛を全身で感じたかった。  ローションを手に取った敬吾が有希の窄まりに触れる。ビクッと反応し身体を仰け反らせる有希の可愛い口に指を入れ優しく解していく。有希の様子を見て感じるそこは刺激を与えて徐々に快楽の沼へ導いていく。  敬吾の巧みな攻めに有希が抗うことはできない。内側で動めく敬吾の指に合わせて淫らに腰を揺らした。その姿は淫靡で病院での清楚な姿からは想像できないエロティックさに敬吾は激しく興奮した。  素早くゴムを装着すると有希の可愛いらしい蕾にあて、優しく入れていく。少しきついが最初の時よりはいい。有希の反応にも余裕を感じたから深く入れていく。 「痛くない? 大丈夫か?」 「痛くない。凄く敬吾さんを感じる」 「ああ、俺もだ。有希を感じる。包み込まれるようで気持ちいい」 「僕で感じてくれて良かった。動いて、もっと感じたい。敬吾さんも感じて」 「あーっ、お前は最高だ。愛してる。」  敬吾は動いた。小刻みのピストン、有希が甘い声を上げ始めると奥まで深く突き上げた。さらに有希の甘い声が高まる。 「あっああー……あっ……おっおく……」 「ああ……有希最高だ……」  敬吾も切羽詰まってきた。ラストスパートのように激しく抽挿する。 「あっ……ああもっもう……いく」 「ああいくぞ、一緒にだ」  やはり同時に果てた。最初の時も良かった。しかし今日の二度目はさらに良かった。思いを確認し合い付き合うときめてから初めてのセックス。いわば恋人になって初めてのセックスといえた。  敬吾が有希を抱き寄せると有希は敬吾の胸に顔を埋めてきた。頭を優しくなでてやる。 「良かったよ。最高だった。もう離してやれないぞ。いいか?」 「ああ、離さないで、ずっとこの腕の中にいたい。愛してる……どうしよう……なんか僕どうしようもなく愛してる。こんなの重くないか?」 「ふっ俺もだよ。もう絶対に離したくないって思ってる。俺の方が有希よりよっぽど重い」  かつてはバイセクシャルの有希は女に行くべきだと思った。だから四年前は別れを選択した。結果論であるがあの選択で有希は傷ついた。再会したあの日の有希は傷つき横たわる瀕死の鳥のようだった。激しく後悔した。己の選択にこんなにも後悔したことは経験のないことだった。  自分には有希の傷を癒す責任がある。有希も傷ついた鳥が安息を求めるように敬吾の腕の中に来てくれた。何があっても全力で守る。そしてもう二度とこの腕の中から出さないと敬吾は思った。  敬吾の罪悪感と責任感は愛情と相まってより強い独占欲となっていく。敬吾もそれを自覚するが同時に抗えないことも自覚していた。  いいよなあ。お前が女に行くことはもうないだろう。俺が独占しても問題ないよな。いつしか腕の中で眠ってしまった有希に敬吾は心のなかで問うた。  有希の抱き着く力が強まった。無意識なのだろうが、敬吾にはいいよと言ってるように思えた。

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