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第16話 経験を生かす

 仲里は生暖かい微妙な空気に耐えられなくなり、ベッドの中にもぐりこんで顔を隠す。   「俺は、こういうのやったことないんだから、章吾がリードしてくれないとできないぞっ」 「あ、ああ……わかってる」    仲里を追いかけるようにベッドにもぐりこんだ沢田が仲里のバスローブをはだける。   「キレイだ……」 「今更言うなっ!俺の裸ぐらい何度も見てるだろうが」    ユデダコのように照れている仲里にキスをする。  舌が触れ合うだけで、仲里がぴくん、と身体を震わせるのが嬉しくて、沢田はキスに夢中になった。   「章吾……」 「何」 「お前……キス、うまいな」    消え入りそうな仲里の声に、沢田は有頂天になる。  おだてられると天まで昇りそうな勢いだ。  仲里はあまりセックスの経験がないような気がする。  沢田も恋愛経験は多くはないが、それなりに大学時代に遊んではいたので、これだけは優位に立てるかもしれない、と気合を入れる。    そうだ。  ここで、せっかくのホスト経験を生かさずにどうする。  女を喜ばせるテクニックはアキラからさんざん聞かされた。  それをせっかくなので利用させてもらう。   仲里をメロメロにさせて自分のものにするのだ。  スイッチが入った沢田は、くどきモードで仲里を攻撃する。   「忍……可愛い。顔、見せて」 「バカっ、可愛いはずないだろ!」    ますますユデダコになる仲里がツボだ。  マジで可愛い。  女はロコツにほめろ、とアキラに言われていたがそれは男にも有効なようである。   「忍、舌出して。俺の方にちゃんとキスして」    軽く唇を合わせると、仲里は言われた通りにおずおずと舌を差し出してくる。  おお、と沢田は心の中で感心する。  優しくするだけじゃなく、たまに命令する、というアキラ流女の口説き方はここでも役に立った。    甘く絡め取るように音を立ててキスをすると、背中に回った仲里の腕が必死にしがみついてくる。  耳に首筋に音を立ててキスを落とすたびに、仲里は身体を震わせる。  ひょっとしたら想像以上に感度がいいかも……とそっと乳首に触れてみる。   「あんっ……」    自分でも信じられないような変な声が出てしまって、仲里は消えたくなるほど恥ずかしかったが、次の瞬間に胸が痺れるような快感に包まれる。   「章吾っ……そんなとこ、舐め……るな、あっんん」 「可愛い。逃げないでじっとして」 「あっんっ、ああん、や、気持、ちいいっ」 「恥ずかしくないから、もっと声出して」 「いや、だっ……あっあっ、んんっ」    きゅう、っと強く吸い付くと、びくん、と仲里がのけぞる。  忍、最高。  沢田は両方の乳首を交互に舐めまわしながら、そろそろと肌の上をすべるように下半身へ手を這わせていく。  じらすように期待させるように下腹部をなでて、下着の上から触れたそこはすでに張り詰めて下着を濡らしている。   「忍……触るよ」 「わ、わざわざ言うなっ」    アキラ流セックステクニック。  わざわざ口に出して、恥ずかしがらせる。  耳元にささやくと同時に下着の中へ手を滑り込ませると、優しく濡れた先端に指を這わせる。   「あ、あ、ああっ章吾っ」 「気持ちいい?」    軽く扱いただけで、仲里はもう涙目になって身体を震わせている。  ますますいじめたくなる……  いつも気の強い仲里が、こんな風になるなんて想像していなかった、と沢田は嬉しくてたまらない。   「ココも舐めるよ、忍がイクまで」    意地悪く低い声で耳元に宣言してやると、それだけで仲里は小さく悲鳴をあげた。  アキラさん、感謝します……俺にいろいろ教えてくれて。    下着を引き下ろして容赦なくそれを口に含むと、びくびくとはりつめたモノが震える。  男の急所は知り尽くしている。  こうされるとたまらないんだよね、と沢田が舌先でポイントを舐めまわすと、仲里はすすり泣きのような喘ぎ声を上げ始めた。   「や、やあっ、も、ああ、ダメっ、イクっ」 「イってもいいよ、今日は一回じゃ勘弁しないから」 「そ、そん、なっ、ああっ、やっ、イクっ、イクってば……あああっ」    あっさりと放出して腰を震わせている仲里に満足して、やっと沢田は口を離す。  ベッドサイドに置いてあったペットボトルの水を飲むついでのようにさりげなく、沢田はローションを手にした。    何が始まるのか、というような顔で仲里は沢田を涙目で凝視している。   「章吾、男とヤったことあるのか?」 「ないっつったろ」    嬉しいような嬉しくないような微妙な回答である。  自分が初めて、というのは嬉しいが、初めてというのは失敗がつきものだ。  不安そうに見上げている仲里を安心させようと、沢田は話しかけながらローションをたっぷりと手に取り、足の間にすべりこませる。   「心配するな、練習はしたことある」 「練習?」 「もちろん、自分のココを使って」    冗談を言うように沢田がペチペチと自分の尻を叩くと、仲里は呆れたように笑った。   「力抜いて、怖くないから」    ぬるり、と指が差し込まれて思わず腰が引けそうになるが、我慢していると、ゆっくりと沢田の指が中を探っている。   「指が気持ちよくなるまで、挿れないから」    抜き差しされる指に慣れてくると、なんだか変な感覚がこみ上げてくる。   「しょ、章吾っ、ひあっ」 「ん?ここか?」 「あっやっそこ、ダメ、変っ」 「OK、我慢して」    沢田は仲里の唇をふさいで舌を絡ませて気をそらせながら、中のある部分を強くぐりぐりと擦ってみる。  のけぞるように仲里の身体が跳ねて、下半身がぶるぶる震えだす。

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