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「真、いいな。お母さまにやってもらえて。お父さまにはやってくれないんだよ」 「な⋯⋯っ」 「どーして?」 「お父さまのことが嫌いだからなんじゃないかな。昨日も嫌いって言われちゃったし」 「ちょ⋯⋯っ!」 子ども達の前で何を言っているの! 昨日のことまだ言っているの! と、言いたいことが一気に溢れ、言葉にならず、ふるふると震わせていると、「あらたはおとーさまのこと、しゅき!」と碧人の頬に口付けし、「ねぇねぇ、なんでー?」と真の純粋な瞳が向けられる。 その話は昨日で終わったんじゃないの! という目を向けるが、余裕のある笑みを見せてくるだけだった。 結局は碧人に踊らされていると、思わず頭を抱えると、「おかーさま、あたまいたい?」と心配そうな顔をされてしまい、「いえ、大丈夫ですよ」と無理やりにでも笑顔を作った。 「いつまでも葵とじゃれていてもいいけど、手が空いていないのでしょ?」 「いえ。可愛い可愛い新と真と一緒に遊びます。──さ、二人とも。お父さまは急用のお仕事があるみたいなので、お母さまと一緒に遊びましょうか」 そう言った途端、母のことしか頭にないというように、素直に従ってくれる愛しい二人に笑いかけた後、勝ち誇った顔を夫に見せつける。 しかし、それでも笑顔を崩さなかった。 「そうだね。優先しなければならない仕事があることをうっかり忘れていたよ。新と真と一緒に遊べないのは、悲しいけれど⋯⋯葵とは、夜でも遊べるしね」 表情が固まった。 それはつまり、"お仕置き"をも意味する。 「よるになにするのー?」 「あらたもまことも、いっしょにあそびたい!」 「新と真は、これからいっぱい遊びましょうね」 「そうだよ。夜は大好きなお母さまと二人きりになりたいんだ」 "大好きな"を強調して、隙を見せない笑みに悦びと恐怖を織り交ぜた複雑な表情をしてしまう。 その際に無意識に小さな愛達を抱きしめていた手に力が入る。 「「おかーさま?」」 「あ、ごめんなさい。痛かったですか?」 「んーん」 「おかーさまは、ほんとうにおとーさまのことがきらいなの?」

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