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6.
まだ気になっているのであろう疑問を、真が口にし、思考が止まった。
「⋯⋯き、嫌いではないのですけど⋯⋯今は、ちょっと⋯⋯」
「ちょっとー?」
「ほぼ好きってことだね」
「そういうことじゃ⋯⋯!」
「しゅきしゅきー!」
どさくさに紛れて言うのを反論するが前に、今度は真が葵人をぎゅっと抱きしめてきて遮られた。
「さて、僕は仕事してくるよ。夜が楽しみだな」
「ちょ、待って」
「おかーさま、えほんをよんでー!」
「あらたとえをかくの!」
さっさと立ち去る碧人を追いかけようと立ち上がろうとするが、小さな手で引き止める二人を無下に出来るわけがなく、そのまま二人の相手をすることとなったのであった。
うたた寝が酷い。
手元の、ようやく取りかかれた編み物を見つめながら、深いため息を吐いた。
あれから、昼は子ども達の相手、夜は碧人のしつこすぎる誘いのせいで、なかなか寝る時間がなく、しかしその間にも段々と寒くなっていき、その焦りで、三人が寝静まっている合間に編んでいるのもあって、結果寝不足が続いていた。
座り心地がいいロッキングチェアの揺れも相まって、眠りに誘われる。
眠ったら、だめ。いつまでも進まない。けど、集中が切れているのなら、少しでも寝た方がいい。
だけど、だめ、でも、寝たい⋯⋯──。
「⋯⋯ーさま、ねてるー」
「あらた、おこしちゃう。しー、だよ。しー」
ふと、瞼を開ける。
同時にいつの間に寝たのだろうと、ゆっくりと身を起こし、伸びをする。
「あ、おかーさま、おきちゃった」
「あらたが、うるさくするからだー」
「まこともじゃん!」
葵人を挟んで、小さな争いをする二人が寝ている間に来たのかなと、ぼんやりと見つめていた。
「おかーさま、おねんねしてて、いいよ!」
「まことが、おうた、うたうー!」
新が嬉々として、肘置きを持って揺らし、真は寝る前に唄ってあげている子守唄を、特に印象的だったであろう歌詞の一部を、普段の声量で一生懸命唄ってくれている。
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