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11.※ディープキス
「葵は誰かに見られるのも、大好きなんだよね。······僕以外にこんな姿を見せたくないけど」
言われて、一瞬違った震えを覚えた。
そうして思い出してしまう。
日中の縁側で、庭の方に臀部を晒されたまま吊り上げられたことを。
その時に、"誰か"に見られていたことを。
「やめて······」
思い出したくない。
「やめて······っ」
碧人にしか触れてはならない手袋を外されている最中、雫が流れ落ちる。
その時、そばにいた"物"が庭に行った気配があったが、今の葵人にはそんなことを気にしている余裕がなかった。
「悲しくて、泣いているの······? でも、おかしいな。漏らしてしまうほど悦んでいるね······?」
着物越しに膨れ上がった自身の熱が、我慢汁であろう染みが着物に滲んでしまっていた。
汚してしまった。
「······あーあ、せっかく葵のために仕立ててもらったものなのに。いけない子だね······?」
いけない子。
わざとらしく耳元で囁かれた言葉に、自分はそうだったと自覚させられ、そして、そう言われた時の返しを口にする。
「碧人さんが僕のために仕立ててくれた着物を汚してしまって、ごめんなさい。······悪い子の僕を、お仕置きして」
恐る恐る、けれども、懇願と期待の眼差しで見つめていると、顎を掴まれた。
短く悲鳴を上げ、瞬き程度の合間に唇を塞がれた。
突拍子もない行動に目を見開くと、僅かに開いた口に自身の舌を捻りこませた。
行く手の阻まれた葵人の舌を絡め取られる。
荒々しく、息を吐く暇も与えない深いキスは、あっという間に思考停止にさせる。
つい反射で押しのけようとして、碧人の腕を掴んだ手は意味をなさず、弱々しく震えるのみ。
背後から聞こえる子ども達の無邪気な声に、こんな所でこのようなことをしてはならないと理性に訴えかけるが、"悪い子"の葵人は夫のされるがままにならないといけない。
下が限界に達しそうな時、口が解放された。
碧人の胸元に倒れ込み、やっとの思いで呼吸を整えていると、頭を撫でられた。
深いキスとの落差に葵人は達してしまっていた。
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