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第50話
「帝は淫乱だから、こんなんじゃ全然足りないでしょ」
夏川が自分の精液を中に塗りこむように、腰を使い始める。
「あっ、ああん、んっ」
ぼんやりとした意識の朝霧は、喘ぎ声を殺すことも考えられなかった。
そんな朝霧を見て、夏川はくすりと笑う。
「今夜はもうだすものがないくらい、搾り取ってあげる。嬉しい? 」
夏川が朝霧の口元に手を持っていくと、朝霧は自分の放ったモノを美味そうに舐めた。
朝霧のそんな従順な仕草に満足した夏川は、うっそりと笑うと、本格的に腰を使い始めた。
朝霧はもう体の中に入っている夏川の熱のことしか、考えられなかった。
朝霧が目を覚ますと、まだ部屋は薄暗かった。
いつもなら昼過ぎまで寝ている朝霧だが、やはり心にひっかかるものがあったのだろうか。
こんな時間に目を覚ました。
嗅ぎなれない香りに、隣を見ると、夏川が朝霧と同様に全裸でシーツだけ纏い、煙草を吸っていた。
「煙草、吸うんだな」
疲れきった頭のせいか、朝霧は思ったことをそのまま口に出した。
夏川はハッとした顔で朝霧を見ると、慌ててベッドの上に置いてあった灰皿に煙草を押しつけ、火を消した。
「珍しいじゃない。まだ眠ってから1時間くらいしか経ってないよ」
夏川は口角を上げていたが、瞳は笑っていなかった。
空が白み始める時間まで、夏川は朝霧を求めた。
夏川は宣言通り、朝霧に何度も白濁を吐き出させ、それを吸ったシーツはまだじっとりと湿っている。
朝霧は乱暴にされて痛む体で、何とか上半身を起こし、夏川と目線を合わせた。
そんな朝霧を夏川が痛ましそうな目で見つめた後、視線を逸らせた。
「乱暴にしてごめん。帝、俺に何か言いたがってたよね? 」
朝霧は口を開き、閉じた。
言いたいことは山ほどあった。
お前はルーシーと話して、男と付き合うのが嫌になったんじゃないのか。
仕事が忙しい振りをして、俺と距離を置いて、自然消滅させかったんじゃないのか。
じゃあ何故、シュンと歩いていた俺を追いかけてきてくれたんだ。
ただの独占欲なのか、それとも……。
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