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第65話

「ダメだって、もぅ死んじゃう」  朝霧が潤んだ瞳で、夏川を見上げた。 「だからそれは逆効果だって」  夏川は朝霧の頬にキスをすると、前立腺を押しつぶすように腰を使い始めた。 「うっ、イイッ。あんっあっあっ、また、ダメ、ダメッ」  朝霧は泣きながら首を振り、足の指を丸めると、また絶頂を極めた。  そんな朝霧を愛し気に見つめながら、夏川は空が明るくなり始めるまで、彼のことを離さなかった。  翌朝、朝霧が起きるとベッドには既に夏川の姿はなかった。  時計を見ると、14時過ぎで、こんなところもいつも通りかと、朝霧は少々自分が情けなくなった。  ふいに寝室の扉が開き、夏川が顔を覗かせる。 「帝、起きてる? 」  その手にはトレイが握られている。 「無理させちゃったから、起きるのも大変かと思って。昼ご飯の出前です」  カルボナーラにサラダ、クラムチャウダーの載ったトレイを夏川がベッドに置く。 「はい、あーん」  スパゲティを巻きつけたフォークを夏川が朝霧の口元に持ってくる。 「自分で食べられる」  そのフォークを奪い、朝霧は大きな口を開けて、カルボナーラを頬張った。  濃厚なカルボナーラが、みるみるうちに朝霧の胃袋に収まっていく。  その様子を楽し気に夏川は見つめていた。 「ちょっと痩せちゃったから、たくさん食べないとね」  食べ終わった朝霧の口元を夏川は自分の親指で拭き、そのまま舐めた。 「ねえ、昨日のもう一度言ってくれない? 」 「何の話? 」  食べ終わった皿をベッドの側の机の上に片付けている夏川の背中に、朝霧が問いかける。  夏川は微笑むと、朝霧の隣に座った。 「俺のこと好きだって言ってくれたでしょ? あれ、もう一度言ってよ」 「ああいうことは、そう何度も言うもんじゃないだろ」 「俺はそうは思わない。言って欲しいし、俺も毎日でも帝に気持ちを伝えたい」  夏川の言葉を聞いた朝霧はぎゅっと目を閉じると、真っ赤な顔でぼそりと呟いた。 「リョウ、愛してる」  夏川は満面の笑みを浮かべると、朝霧を抱きしめた。 「俺も愛してるよっ」  夏川は朝霧にキスをすると、間近で見つめ合った。 「これから末永くよろしくね。ハニー」 「分かったけど、ハニーはやめろ」  耳まで赤くした朝霧を笑いながら、夏川がベッドに押し倒した。  顔中にキスの雨を降らせる。  そんな風に2人の週末は、ベッドの上で過ぎていったのだ。

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