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瞳、奪われる。4

「ねえ、リョウの好きな人ってどんな人? 」 「うーん。知り合ったばかりだから、良く知らないんだ。ただすごく綺麗な人だよ。初めて見た時、目を奪われたんだ」  夏川は朝霧のことを思い出し、思わず口元に笑みを浮かべた。  そんな夏川の表情を見て、男が頬を染める。 「じゃあ、一目惚れだったんだ」 「一目惚れ? 」  夏川は首を傾げた。 「そう。だって、初めて見た時からその人を好きになっちゃったんでしょ? 」 「好きに……なったのかな? 」 「気付いてないの? その人のことを話すとき、リョウすごく嬉しそうな顔しているよ」  夏川は男の言葉に小さく口を開けた。 「そう、そうだね。俺は一目惚れしたんだ」  夏川は今までの人生で一目惚れしたなんて経験がなかったため、最初は男の言葉にしっくりこなかった。 しかし、言われてみればそうだと思った。  夏川の「好き」はとても軽く、野良猫に「可愛い。好き」と思うのと彼女への「好き」がそう違わないタイプの男だった。  その夏川が誰か一人を抱くために練習として全く好きではない同性を抱いた。  全ては朝霧に少しでも気持ちよくなってもらう為に。  夏川は過去のセックスの経験から、自分の体やテクニックには相当な自信があった。  しかしそれらは全て異性との間のことで、同性を感じさせる術は今一つ分からなかった。  朝霧に少しでも、良い思いをさせたい。あの綺麗に整った顔を快楽で歪ませ、声がかすれるほど喘がせたい。  そんな妄想をしていると、夏川の中心に熱が集まり始める。  夏川のスーツのズボンが窮屈そうになったことに気付いた男が、嬉しそうにソコに手を伸ばす。 「まだ足りなかったみたいだね。ねえ、フェラしていい」  夏川はベッドに座ると、頷いた。  男は嬉々とした表情を浮かべながら、夏川のベルトを緩める。  温かい口内に屹立を収められ、夏川は吐息を漏らした。  目を閉じ、今自分のモノを咥えているのが朝霧だったらと妄想する。  夏川の屹立はそれだけでぐんと力を増した。

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