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私から見た彼らは7

「他は、喘ぎ声が煩いって。AVじゃないんだから、そんな演技されると逆に萎えるって言われて、振られたな」 「まあ、酷い」  猪塚が顔を顰めた。 「ツンとした美人だと思って付き合ったら、ベッドのなかでは下品なブタみたいに喘ぐから引いたって言われてさ。でも俺、リョウとホテルに行った時も喘ぎ声が煩いってフロントからクレームをいれられたことがあるんだ。もしかしたらリョウも俺の声とか嫌がっているのかも」  急に顔色を悪くした朝霧の手を、猪塚がぽんと叩く。 「みっちゃん、1人で悩んで、ネガティブな答えをだすのは貴方の悪い癖よ。元カレの言葉、私は最低だと思うわ。恋人にかける言葉じゃないわよ。リョウは絶対にそんなこと言う男じゃないわ」  もし言ったとしたら、私が許さない。  猪塚は心の中で、そう付け加えた。 「そうかな。でも、俺……」  朝霧の頭が振り子のようにゆらゆらと揺れ始める。  先ほどから、ハイペースで飲んでいたワインのせいで、酔いが回ったようだった。 「お待たせ。あれ、帝、酔っ払っちゃった? 」  戻ってきた夏川は朝霧の様子にいち早く気付くと、その額に手を置いた。 「うーん」  返事もしない朝霧に苦笑しながら、夏川は軽々と彼の体を抱き上げた。 「ったく、もう。俺の電話している間にどれだけ飲んだんだか。マスター、ごめん。ちょっと帝をベッドに寝かせてくる」  夏川はそのまま奥の部屋に消えると、すぐに戻ってきた。  猪塚の前の席に座り、ほぼ空になっている猪塚のグラスにワインを注ぐ。 「ごめんね。帝、実はそんなにお酒強くないからさ」  その事実を既に知っていたマスターは軽く頷いた。 「別に良いわよ。みっちゃん、酔っ払っても絡んだり、泣いたりしない、上品な酔っ払いだったもの」 「上品な酔っ払いね」  猪塚の言い方が面白かったのか、夏川が声を立てて笑う。

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