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第78話

 朝霧の問いに、真島が大きく頷く。 「もちろん。お前らの部屋は二階の、一番端な」 「オッケー。ありがとう」  夏川が朝霧の大きなリュックと自分の荷物を持って、歩き出す。  朝霧は慌てて、その背中を追った。 「自分の分は持つよ」 「いいって。帝、まだ顔色悪いし」  それは夏川の友人達との対面のせいだと思ったが、朝霧はそれを口には出さなかった。  家の中に入ると、リビングと思われる場所には暖炉があり、火は熾していなかったが、その前でくつろげるようになっていた。  天井は高く、窓がいたるところに配置されているせいで、家の中全体が明るく見えた。 「わあ」  朝霧の歓声に、夏川が目を細める。 「いいところだよね。個人の別荘をレンタルしたんだけど、人数分で割るとすごく安く泊まれるんだ」  夏川と朝霧は階段を登って、廊下を進む。 「そう言えば、俺、旅行代金払ってなかった。いくら? 」 「今、言ったでしょ。すごく安いから、いいよ。俺から誘ったんだし」 「でも」  夏川が扉を開けると、朝霧の目に大きなベッドが飛び込んで来た。  部屋に置いてある机も椅子も、木材の家具で統一され、掃除が行き届いている。  机に荷物を載せると、夏川は朝霧を抱き寄せた。 「帝は休んでて。俺はバーベキューの準備を手伝ってくるから」 「俺も、行くよ。もうすっかり元気だから」  言い募る朝霧の目の下の隈を、夏川がそっと撫でた。 「忙しくしていた俺のせいでもあるんだけど、帝ここのところちゃんと眠れてないでしょ? 」  夏川の言う通りだったせいもあり、朝霧が言葉を詰まらせる。 「少し眠って。帝が大丈夫って言っても、俺が心配なんだ」  夏川の心配そうな口調のおかげで、朝霧の気持ちがいくぶん浮上した。。 「でも、どうせ俺、ここでだって眠れないし。それなら、リョウと一緒にいたい」  夏川は甘く表情を崩すと、朝霧の頬に口づけた。 「それじゃあ、ちょっと運動したら眠くなるんじゃない? 」  夏川は朝霧に口づけながら、その体をベッドに押し倒した。 「リョウ」 「大丈夫。最後まではしないから」  焦った朝霧の髪にキスを落とすと、夏川はその細い足から、ジーンズと下着をはぎ取った。

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