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第88話
「驚かないでよ。2人っきりでこういうふうにいちゃいちゃしたかったんでしょ? 」
「そんなことは言ってない」
キスされた頬を手で押さえて真っ赤な顔の朝霧に夏川が微笑みかける。
「帝、ここは空気が澄んでいるから星も綺麗に見えるんだ。ちょっと外に出てみない? 」
夏川に促され、朝霧が車の扉に手をかける。
柔らかい土の上に降り立った朝霧は頭上を仰いで、息を止めた。
「わあ」
そこには無数の星が瞬いていた。
手を伸ばしても届くはずもないのに、朝霧は無意識にそうしていた。
そんな朝霧の手を夏川が掴む。
夏川は朝霧の手をそのまま自分の口元にもっていくと、指先にキスを落とした。
「帝。俺、自分でも驚いているんだけど、帝に関してはうざいくらい嫉妬深いみたい」
夏川と朝霧は満点の星空の下で見つめ合った。
「そういうのガキっぽいって自分でも分かっているんだけど、なんせ人生で初めて嫉妬なんてしているから、どうもうまく制御できなくて。色々嫌なこと言ってごめん」
朝霧は首を振った。
「俺も嫌な言い方して本当にごめん。でも俺、リョウだけが好きだから。マッチョが好きとか変な勘違いはもうしないで」
「うん、ごめんね」
夏川が朝霧を抱きしめる。
朝霧はその首筋に頬を寄せた。
ふいに夏川が辺りを見回すと、朝霧の手首を掴んで、ずんずんと歩いて行く。
朝霧の体を大きな木の幹に押し付けると、夏川はその唇を貪った。
「んっ…ふっ」
朝霧も夏川の首に両手を回し、濃厚なキスを受け止める。
夏川の手が、朝霧の股間を撫でまわし、ジーンズのボタンを外した。
「ちょ、ここ外」
「大丈夫だって。ここから先はさっきの別荘の持ち主の私有地だし、誰も来ないよ」
「でも」
朝霧の抗議の言葉を、夏川は己の唇で受けとめた。
キスをしながら、夏川は朝霧のジーンズと下着を手早く膝まで下ろし、シャツの裾から手を入れた。
「んっ、あっ」
朝霧の乳輪を夏川はやわやわと揉むと、きつく摘まんだ。
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