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第203話

 ホテルの扉をノックすると、それはすぐに開いた。 「遅かったじゃないか」  音羽がしかめっ面で、朝霧を迎える。 「俺だって働いているんだ。こんな平日の昼間から呼び出されたって、すぐに来れるはずがないだろ」  医師の音羽は昼夜関係なく勤務しているため、朝霧への呼び出しも日中やら真夜中やら、ばらばらだった。  そのせいで朝霧は不眠症に拍車がかかっていた。 「だから仕事なんて辞めればいいと言っているじゃないか」  一方的な音羽の話しに朝霧はいらつきを隠せなかった。 「それであんたに養って貰えって? 死んでもごめんだね」  音羽の強ばった表情を見て、朝霧は自分が言い過ぎたことに気付いた。 「ふぅん。どうやら帝くんはお仕置きがご希望みたいだね」 「いや、違うっ」 「いいから、さっさと服を脱げよ。いつもやっているんだから、いい加減分かるだろ? 」  音羽の口角が上がり、朝霧はゾッとした。  震える手で服を脱ぎ始める朝霧を見て、音羽がにっこりと笑った。  朝霧は帰宅するなり、玄関で座り込んでしまった。  両手で己の体をかき抱く。  背中が燃えるように熱かった。  全裸になった朝霧に這いつくばるように命じると、音羽はいつもより大きなバイブを後口に埋めた。  痛みに朝霧の意識が一瞬、遠のいた。  朝霧が苦し気な叫びをあげても、音羽は気にせず、バイブのスイッチを最大にしてしまう。  腹の中で大きな振動が響き、朝霧は無言で首を振った。 「苦しい? 」  音羽の問いかけに、朝霧は何度も頷いた。  音羽の怒りに触れたせいで、貞操帯を脱がせてもらえず、勃起した痛みで、朝霧は声を殺して泣いた。  こんな状況でも快楽を拾える自分の体が汚らわしく思えた。  音羽はそんな朝霧の前で、ベルトを片手に立ち上がる。 「さあ、膝をついて。ベッドに両手を。そう」  朝霧が言われた通りの姿勢になると、音羽はその背中にベルトを振り上げた。

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