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第6話 酔いどれな夏の夜(6)★
「先生の我慢汁、すげ……糸引いてる」
「っん、う……だって、これ、やばい」
互いの先端からは透明な蜜が溢れ、キスでもしているみたいに糸が伝っていた。
それを塗りつけるようにして手を動かせば、ぬちゃぬちゃという水音が部屋にいやらしく響く。滑りがよくなったところで、さらに手の動きを速めていった。
「あっ、橘、つよいって……あんまもたないよっ」
「じゃあ、ゆっくり?」
言うと、橘は手つきを変えた。ゆっくりとした動きは、まるで焦らされているようで、もどかしさに諒太は身悶える。
そんなこちらの様子を見て、橘が耳元で囁いてきた。
「いっすよ。先イッちゃってください」
吐息交じりの低い声に、諒太の背がゾクゾクと震える。
隙をついて、橘はいきなり責め立てを激しいものにさせた。射精を促すようにカリ首の部分を重点的に刺激してくる。
「っあ、そこ、だめだって……!」
先ほどまでリードしていたのはこちらの方だったというのに、すっかり形勢逆転されてしまった。容赦のない手の動きに翻弄されて、一気に高みへと押し上げられていく。
「だめ、イく、イくぅ……あ、あぁッ」
抗うこともできず、諒太はあっけなく限界を迎えた。びゅっと白濁が飛び散って、橘の手のなかに思いきり吐精してしまう。
「っ……ご、ごめん。ティッシュ」
すべて吐き出したあとにハッとして、ティッシュケースに手を伸ばそうとする。
ところが、橘がそれを許さなかった。
「先生のイキ顔、可愛すぎ――」
熱っぽく呟いたかと思うと、有無を言わさず激しい手淫を再開させてしまう。
途端、諒太の口から悲鳴じみた声が上がった。
「っあ、ちょ、イッたばっか! 俺、イッたばっかだからあっ」
まだ絶頂の余韻が残っている身には過ぎた悦楽だ。敏感になっているところへ追い打ちをかけられては、堪ったものではない。
が、「嫌だ」と頭を振って訴えたところで、橘は聞く耳を持ってはくれなかった。
やめる気配もないどころか、諒太が放ったものを潤滑油代わりにし、いっそう激しく愛撫してくる。
「おねがっ――まって、こんなのむりぃ! やっ、あぁ」
「待てるワケないでしょ。こんな痴態見せつけられて――俺、まだイッてないんすよ?」
「あっあ、ん! や、やだっ……フェラでも、なんでもっ、するからあ!」
「っ、あと少しなんで」
「ひ、あっ! だめ、先っぽやだっ、チンコ、ばかになるう……ッ」
亀頭をぐりぐりと弄られて、諒太は涙目になって体を跳ねさせる。
次第に快感そのものを超え、急激な尿意が沸き上がってくる感覚にギクリとした。必死に堪えようとするも、我慢など効くはずもない。
「やっ、でる、でちゃうのおっ――たちばなっ、でちゃうう!」
「俺も、イく――」
「あ、うあっ、らめ……らめえっ! ンあ、うああぁッ!」
ぷしゃああっ、と無色透明な体液が勢いよく噴き出す――射精ともドライオーガズムとも違う快感が諒太を襲った。あまりのことに視界がチカチカと明滅して、腰の震えが止まらない。
「あ……あぁ……」
羞恥を感じる余裕もなく、諒太は放心状態で呆然とする。
それから、体やベッドに二人分の体液が飛び散るのを見届け、眠るように意識を手放したのだった。
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