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第8話 誕生日とはじめての…(7)★

「あんっ、あ、だいち、すきっ……すきい」  うわ言のように繰り返して、汗ばんだ背中に腕を回す。  橘はこちらに体を倒すと、肩口に顔を埋めてきた。そのまま耳元に唇を寄せ、掠れた声で囁かれる。 「諒太さん――俺も、大好き」  甘ったるいやり取りに胸がときめいて、眩暈がするようだった。  そこからはもう互いに夢中になって求め合う。諒太も自ら腰を振って快楽を追った。  二人の呼吸はどんどん浅くなっていき、やがて絶頂が近いことを悟る。 「俺、もう……」 「んっ、ん、イッて、おれのナカでイッちゃってえ……ッ」 「あ、ッ……」  昂ぶりを締めつけてやると、橘は小さく喘いだ。それでも歯を食いしばって、こちらのものに触れてくる。 「諒太さんも一緒に――」 「あっ、や……だめっ、それ、すぐイッちゃうよおっ」  先端の割れ目を指先で擦られ、全身が総毛立つ感覚を味わう。むず痒い射精感が下腹部へと集中していき、間もなくそれはやってきた。 「あ、あっ、イく……イッちゃう、あ、あっあ!」 「……っ、く」  一際鋭く最奥を穿たれた瞬間、諒太は全身を痙攣させながら欲望を爆ぜさせた。  次いでドクンッと中で脈打つ感覚があって、橘も後を追うように絶頂を迎える。ゴム越しに熱い飛沫を感じ、その感触にさえ諒太は感じ入ってしまっていた。 (セックスって、こんなにも満たされるものだったんだ……)  ぼんやりとそのようなことを思う。  体の硬直を解いたあとも二人は繋がったまま余韻に浸った。しばらくして、どちらからともなく目を合わせる。 「なんか今、すごい――幸せ。こんなの初めて……」 「俺も、すげー幸せな気分でいっぱいです」  橘も同じように返してきて、自然と唇が重なった。ゆっくりと離れればもう一度。  そうやって軽いキスを何度も繰り返していたのだが、橘が新品のコンドームを手に取ろうとしていたのでギクリとした。 「えっ、もう二回戦やんの!?」 「まだまだ、元気あり余ってるんで」  確かに橘の男根は萎える気配はおろか、まだ諒太の中で存在を主張し続けている。  しかし、いくらなんでも――あんなにも激しかったのに――早すぎるのではないだろうか。こちらとしても物足りないと思っているけれど、さすがに少し休ませてほしい。 「あ……やっぱ受け入れる側ってしんどいっすか?」  態度に出てしまっていたのか、橘が申し訳なさそうな顔をした。  諒太は踏みとどまって思い直す。あるのは、年上としてのプライドだった。 「……いいよ、ヤりたい盛りなんだろ? 体位教えてあげるから、たくさんエッチしよ?」  そうは言ったがその後――結局、四回戦まで連続突入してしまった。  橘とのセックスはとても気持ちがよく、諒太も途中までは何度もねだっていたものの、最後の方はほとんど意識が飛びかけていたと思う。  若さとは恐ろしいものだ、と諒太は改めて肝に銘じたのだった。

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