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おまけSS 高校生の諒太くんカムバック(2)★
「――諒太」
「ん……」
諒太はくすぐったそうに顔を綻ばせ、そっと橘の首へと腕を回してくる。
そのまま引き寄せられれば、ちろりと舌を差し出してきたので、誘われるがままに舌同士を搦めた。
「っは……ん」
口づけを交わしながらも、学ランのボタンを外してYシャツ越しに薄い胸板を撫で回す。
すでに小さな突起はツンと尖っていて、指先できつく摘まんでやれば、くぐもった声が漏れ聞こえてきた。
「あ、ん……っ」
ますます硬度が増していくそれを、橘は執拗に愛撫していく。シャツが擦れる感覚がもどかしいのか、切なげに眉根を寄せる諒太が可愛くて仕方がない。
しかし、いつまでも主導権を握っていられると思ったら大間違いである。もっと感じさせたくなって、乳首にしゃぶりついてやろうとしたけれど、それより先に諒太の手が股間へと伸びてきた。
「橘さんばっかずるい。ねえ、俺が上になっちゃ駄目……?」
――淫乱。本人には悪いが、どうしてもそういった言葉が頭に浮かんでしまう。
しかも、だ。今日は年下という体でいるせいか、どこか小悪魔的でなおさらタチが悪い。
「もうその気のくせに……」
そう返しつつ、橘は素早く体勢を変えた。今度は自分がベッドに腰を下ろし、諒太がその上に覆い被さってくる。
「だって、このおっきいの――早くしゃぶりたいんだもん」
慣れた手つきでベルトを外し、口を使ってジーンズのチャックを下ろす。橘がごくりと喉を鳴らすと、彼は嬉しそうな笑みを見せた。
下着の上から自身を咥えられ、唇で食むようにして刺激を与えられる。
布地越しに温かい口腔内に包まれる感覚はむず痒く、焦らされているようだ。だというのに興奮は高まるばかりで、すっかり橘の欲望は張り詰めてしまった。
「ん、はっ……橘さんのすごくキツそう。これ、楽にしてあげるね?」
頃合いを見計らっていたに違いない――やっとのことで諒太が下着をずらしてくる。勢いよく飛び出した屹立に目を細め、愛おしげに先端へとキスしてくるものだから、こちらとしては堪ったものではない。
さらに諒太は、根元から先端まで丹念に舐め上げたあと、わざと音を立てて吸いついてきた。じゅる、じゅぼっと唾液の絡まる音が響き、視覚的にも聴覚的にも煽られていく。
(こんなの、気を張ってないと……すぐにイく)
口腔の気持ちよさもさることながら、舌使いもまた絶妙なのだ。裏筋に舌を這わせたかと思えば、カリ首をぐるりと舐め回し、鈴口を舌先で刺激してくる。
まるで蕩けてしまうのではないかと錯覚するほどの快感に、橘は早くも息が上がって、つい腰が引けてしまう。
「ん、橘さん――」
屹立を舐めしゃぶりながら、諒太が上目づかいでこちらの様子をうかがってくる。
目が合った途端に橘の中で何かが弾け、次の瞬間には、諒太の頭を掴んで強引に自身を押しつけていた。
「っん! ん、ぐッ」
突然のことに諒太が大きく目を見開いたが、そんなもの構っていられなかった。
橘は喉深くまで何度も激しく抽挿を繰り返す。時折苦しげな表情を浮かべながらも、懸命に受け入れようとしてくれている諒太の姿にますます昂ぶっていく――そして射精する寸前、自身のものを引き抜いた。
「く……ッ」
びゅるるっ、と勢いよく精液が飛び散って諒太の顔面を汚していく。眼鏡はもちろん、髪にまで浴びせかけてしまい、そこでようやく我に返った。
「っ、ごめ――」
橘が慌てる一方で、当の諒太はさして気にした様子もなく、口元についた白濁を指で拭ってぺろりと舐めてみせる。咄嗟に謝ろうとしたけれど、その仕草があまりにも艶っぽくて言葉を失ってしまった。
「いーよ、これくらい。我慢できないくらい気持ちよかった?」
諒太がクスッと微笑みかけてくる。
本当はいつだって優しくしたいのに、こうやって煽られては滅茶苦茶にしたくなるときもある。そんな自分を容易く受け入れてくれるのだから、この人にはどうやったって敵いっこない――。
「は、はい……」
思わず素で返してしまって、二人してきょとんとする。事前に話していた設定など、すっかり頭の中から抜け落ちていた。
「あの、申し訳ないんですが、ここからはいつもの諒太さんでお願いできますか?」
「えっ、ちょ……自分から提案しておいて!?」
「高校生の諒太さんも可愛くて好きだけど……でもやっぱ俺、年上の――今の諒太さんがすげー好きだなって」
思ったことをそのまま口にしつつ、諒太がかけていた眼鏡を外してやる。
そこにあったのは、年上としてのいつもの顔だった。諒太は頬を赤らめていき、「仕方ないなあ」と観念したように笑みを浮かべる。
そうして、ベッドが静かに沈んだのだった。
「――って、結局、“橘さん”は全然ノッてこねーし! 俺が羞恥プレイさせられただけじゃん!」
行為のあと、頭が冷えたらしい諒太はやたらと恥ずかしそうにしていた。
「すみません。いや……マジで俺、年上になりきれませんでした」
恋人の貴重な姿を見られたところで、内心では万々歳なのだけれど、こちらが年上という設定を演じるのは難しいものがあった。
その点、諒太はさすがだと思っていたのだが、
「まあ、それ言ったら俺もだけど」
「え?」
「……前の俺はこんなじゃなくて、ドライな感じだったから。本当に体だけの割り切った付き合い、っていうか――だから、その、大地にはそんな態度取れなくて」
言いにくそうにしながらも、諒太が包み隠さず伝えてくる。こちらの胸元に頭を押しつけてきたかと思うと、さらに続けた。
「こんな顔見せるのは大地だけだし、俺が心から求めるのも君だけだってこと……忘れないでよ」
「………………」
その精一杯の言葉に心を打たれる。
過去を気にするあまり、大事なことを忘れていた自分が馬鹿みたいだった。橘は胸がいっぱいになって、堪らず諒太のことを抱きしめた。
ぎゅうぎゅうと力を込めていたら、あやすように頭を撫でられて困惑したけれど――さすがに子供扱いされるのは嫌なのだ――、今は悪い気がしなくて大人しくされるがままになる。
「大地、もう一回する?」
「……する」
諒太の首筋に顔を埋めながら返事をする。
けれども、しばらくはこうして抱きしめていたい気分で、決して離れようとはしなかった。
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