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おまけSS じれじれな×××準備 ★

「諒太さん、いつも一人で準備してますけど――今日は俺も手伝っちゃ駄目っすか?」  ある日の晩のこと。橘の部屋に誘われ、いつものようにベッドの上で愛を交わし合っていたのだが、思いもよらぬ提案をされてしまった。  諒太は即座にぶんぶんと首を横に振る。 「そ、そんなの駄目に決まってるでしょ!?」 「どうして?」 「『どうして』って……そりゃあ、想像してごらんよ。あんま言いたくないけど、排泄器官なんだし……その」 「いや、諒太さんの体なら余すことなく全部見たいし」  臆面もなく告げてくるものだから呆気にとられてしまう。  こういったときの橘はかなり強情である。さんざん言い合いが繰り広げられたのだが、そこは割愛――結果から言おう、諒太は折れるしかなかった。  あれよあれよという間に浴室に押し込まれて、「ネットで調べたんで」と腸内洗浄までされてしまい、そして今に至る。 (嘘みたいだ……人に《シャワ浣》されたなんて――)  諒太は壁に手をつき、げっそりとした表情で項垂れた。思わぬところで体力を持っていかれた気がする。  こんなこと初めてだし、そもそもタチでやりたがる相手などそういない。しかし、橘は涼しい顔をして隣に立っていた。洗浄している最中だって、眉一つ動かさないのだからよほどのものだ。 「諒太さん、大丈夫ですか?」橘が様子をうかがってくる。 「な、泣きそう……」 「え?」 「汚いとこ見られちゃったし……もうお婿に行けない……」 「なに言ってるんですか。俺がもらってあげますよ」  あまりのショックに弱音を吐いたら、橘がそのような言葉を告げて頬に口づけてきた。この状況で何を言っているのだろうかとも思ったけれど、甘ったるいキスがこそばゆくてどうでもよくなってしまう。 「そろそろ、次――いいですか?」  気づかうような橘の声。諒太がこくりと頷くと、彼はローションのボトルを手にとった。 「ん……」  ぬめりを帯びた指先が後孔に触れる。くるくると撫でまわされたかと思えば、マッサージでもするかのように指圧されて、なんだか堪らない気分になった。 「大地、それいいって」 「駄目ですよ。ちゃんと柔らかくしておかないと」  焦れたように視線を向けたけれど、橘は見向きもしない。なおも後孔の周りばかりを刺激してくる。  一体いつまで続けるつもりなのだろう。そこが物欲しそうにヒクついているのが自分でもわかって、諒太はもどかしさに身悶えた。 「もういーから、はやく挿れてよ……っ」  ついには自分から催促してしまう始末だ。早く奥まで埋めつくしてほしい。掻き回してほしい。そんな淫らな欲望に突き動かされていた。 「諒太さんってば、すぐそんなこと言うんだから」  橘は困ったように苦笑を浮かべると、ゆっくりと指を沈めていく。待ちわびていた感覚に、諒太の腰がビクンッと跳ね上がった。 「ふあ、ぁ……っ」  節くれ立った太い指が体内をまさぐってくる――その動きはやはり緩慢だ。手首を回すようにしながら緩やかに抜き挿しされて、内壁はもっと刺激がほしいと言わんばかりに、きゅうっと収縮を繰り返していた。  やがて二本、三本と指を増やされたけれど、体内を押し広げようと縦に開いてくるばかりで、決定的な快楽を与えてくれることはない。それでいて時折、前立腺を掠めてくるものだからなおのこと始末が悪かった。 (こんなの、ズルいっ……)  そのうちにままならぬ思いが膨れ上がってきて、いよいよ我慢の限界を迎える。気がつけば、自ら腰を揺らしている諒太がいた。 「ちょっと諒太さん。まだ広げてる最中ですよ?」 「だ、だって――も、我慢できないぃ……」  切なげな声で訴えるなり、諒太は背後にいる橘を振り仰いだ。すると、橘はどこか楽しげに微笑んでみせる。 「っとに、仕方のない人ですね」  指を引き抜かれ、すっかり蕩けきった後孔に橘のものが押し当てられた。  諒太が期待に胸を高鳴らせているうちにも、ずぶずぶと熱い楔が押し入ってくる。そして、一気に最奥まで穿たれてしまった。 「あ、あぁぁ……ッ!」  諒太は喉を仰け反らせて喘ぐ。  散々弄ばれたせいで体は驚くほど従順だった。強すぎる衝撃に目の前を星が舞い、壁にびしゃびしゃと飛沫を飛び散らせていた。 「……挿れただけでイッちゃったんですね。そんなによかったんですか――焦らされるの」  橘が耳元で囁いてくる。どうやら焦らしている自覚はあったらしい。  文句の一つや二つ言いたくなったけれど、激しい抽挿が始まれば、すぐに快楽の波へさらわれてその気も失せてしまった。 (~~っ、もう準備なんて手伝わせてやらない!)  そう決意するのだが、それもあっけなく崩れ去ることを諒太はまだ知らない。

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