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本当は? 4
「……そうだよね。迷ってる方が綾都を傷つけちゃうから、ちゃんと言う」
「…………」
俺が傷つくってなんだろうか。
それはやっぱり、もう話すのも嫌だとかそういう――。
「俺、綾都のこと……好き、なんだ」
「………………は?」
「だから、綾都のこと、恋愛の対象として好きだから。だからセフレの関係は、やめたいってことなんだ」
「……えっと」
俺、いま、告白されてる? 誰に?
目の前で夕日に負けないくらい真っ赤な顔で俺を見つめる静流を見つめ返す。
いや、たぶん俺、いまめちゃくちゃ間の抜けた顔をしていると思う。確実に。
ただ、嬉しいという気持ちより、驚きの方が大きすぎて、表情筋も脳も追いついてこない。
「……だから、あの……セフレでも友達でもなくて、ちゃんと付き合って欲しいって、言ってるん、だけど……」
「……そ、れは」
「きっとセフレっていう関係のままじゃ、俺はいつまで経っても綾都と恋人になるなんて出来ない。だったら振られる振られないに関わらず、せめてちゃんと告白したいって思ったんだ」
覚悟を決めた静流のブラウンの瞳が夕日の光に照らされてオレンジに染まり、ふわりと揺れた。
その表情を見て、ようやく俺も現実を直視した。
あとからあとから溢れてくる想いに胸の奥が熱を持ち、鼻の奥がツンと痛む。
「……静流の方が、ずっと俺との関係、ちゃんと考えてくれてたんだな……。むしろ、今さら自分の気持ちに気づいてあたふたしてる俺の方がかっこ悪ぃわ……」
「え?」
「……俺、秋人とベタベタしてる静流を見て、めっちゃ嫉妬してた。朝だって昼だって、静流が隣にいないのがなんか寂しくて……。それで、あー俺、絶対これ、静流に恋してるって気づいた……」
本当に遅すぎると思う。
たぶん、今までは隣にいるのが当たり前だったから、自分は周りより静流の近くにいるという安心感があったのかもしれない。
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