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第7話
「ったく」
鼻を鳴らした奏は真っ赤な顔のまま風呂場へ行った。奏が体を洗いはじめるころを見計らって、成留はそうっと脱衣所へ行き、そこにある奏の着替えをすべて持ち出しニシシと笑った。
そんなこととはつゆ知らず、じっくりと風呂に入って隅々まできれいに洗った奏は、脱衣所に出て呆然とした。
「あの野郎」
うめいてもしかたがない。どうせ脱ぐんだと落ち着かない自分を無理やり納得させて、腰にバスタオルを巻き成留の部屋へ向かった。
ドアの前で立ち止まり、深呼吸をして腹を決める。
(よしっ)
意を決してドアを開いた奏を、素っ裸でベッドの上に正座していた成留が迎えた。
「いらっしゃい、先輩!」
両手を広げて飛びかかってくる成留に恐れをなして、奏は思わずドアを閉めた。派手な音を立てて、成留がドアにぶつかった。
「な、なにするんですかぁ」
「いや……、なんとなく」
ドアを開いて顔をのぞかせた成留に、奏は苦笑した。
「まったく。いくら照れくさいからって、かわいすぎますよ」
「なんだよ、その感想はよ」
「いいからはやく、部屋に入ってください」
「お、おう」
腕を取られてベッドに連れていかれた奏は、腰にあたる部分にバスタオルが敷かれているのに驚いた。
「ああ、それ。先輩をトロトロにしたら、シーツが汚れるじゃないですか。そうなったら洗濯が大変だろうなって思って」
ニコニコする成留を照れ隠しに殴りたくなる。かろうじて堪えた奏は、低く「そうか」とうなった。
「さあ、先輩。はやくベッドに上がって上がって!」
ムードもかけらもない成留に苦笑しつつベッドに座った奏は、体当たりをされて後頭部を壁にぶつけた。
「いってぇ!」
「あぁあ! すみません、先輩。うれしくて、つい」
そう言いながら成留は奏を引き倒した。奏の後頭部が枕に沈む。腰にまたがられ、バスタオルを剥ぎ取られた奏はシーツを握って目を閉じた。
「先輩……、奏」
頬を両手で包まれて唇を舐められ、奏は硬直した。
「そんなに緊張しないでくださいよ。……かわいいなぁ」
クスクス笑いながら、成留は奏の唇にたわむれる。キスをしながら胸筋を手のひらで撫でまわし、円を描くように色づきを親指でくすぐると、奏の唇がわずかに緩んだ。その隙をついて舌を差し込み、口腔をむさぼりつくす。
「んっ、ふ……、ふぅ、うっ」
はっきりとした独占欲を成留の舌に感じて、奏の胸は熱くなった。それと同時に股間に血液が満ちて硬くなる。成留の腹に、頭をもたげた奏の分身が当たり、先端が擦れた。
「ふっ、ぅん」
甘い音が奏の鼻から漏れる。成留はうっとりと目を細め、キスをしながら尖った乳首をいじり倒した。
「ああ、奏。すごい乳首、ビンビンになってますよ。……ほら」
「ふぁ、あっ、そん、言うな」
「うれしいから言いたくなるんですよ。俺の腹に硬いものも当たってますね。ふふ、乳首をいじられるの、好きなんだ」
「べっ、別に好きじゃ……、あっ」
乳首に吸いつかれた奏の嬌声が、成留の言葉を肯定する。はりつめた胸の尖りを唇でなぶられ、もう片方は指でもてあそばれて、奏は両腕で顔を隠して腕を噛んだ。押し殺された嬌声に成留はますます興奮し、奏の乳首を執拗に舐めまわす。その舌がもう片方を含み、そしてまたもとに戻るころには、奏の肌はすっかり過敏になっていた。
「ふぁ、あ、んぅう」
こらえる余裕を失って淫らに啼く奏に、成留がささやく。
「ねえ、奏。……腕、外して? 顔を見せてくださいよ」
フルフルと腕の下で奏が首を振る。
「ふうん? なら、腕を外したくなるようにしてあげます」
なにをされるのかと奏が思う間もなく、成留は奏の膝の間に座って、グイと奏の尻を押し上げた。かと思うと肩に奏の太ももを乗せ、尻の谷に顔をうずめる。
「うえっ?! な、っ、成留……、あ」
秘孔を舌でつつかれて、奏はあわてた。成留はそのままグイグイ舌を押し込んで、秘孔のシワを伸ばそうとする。
「んぅうっ」
腕を伸ばして成留の頭を押しのけたい。けれどそうすれば乱れた顔を見られてしまう。
葛藤に震える奏をたのしみながら、成留はこれから自分がうずまる箇所を味わった。
(俺、こんなに狭いところに入ったんだなぁ)
はじめての交合を思い出した成留の陰茎が、隆々とそびえ立つ。はやく突っ込みたいと思いながら、成留は奏の尻をさらに押し上げた。息苦しい体勢になった奏は、腕の隙間から興奮した己の股間ごしに成留を見た。トロトロと先走りをこぼす自分の欲と扇情的な成留の瞳に、奏の理性が揺さぶられる。
「っあ、成留ぅ」
ひときわ甘く啼いた奏に、成留は顔を上げて笑顔を向けた。
「もっと、トロトロにしてあげますよ」
成留は用意していたジェルのチューブを奏の秘孔に当て、中身をすべて押し出した。
「ひっ、いい」
冷たいジェルに悲鳴を上げた奏の陰茎がブルブル震え、先走りが奏の胸に落ちる。もっと腰を持ち上げていれば、顔にかかっていたのになぁ。なんて不埒なことを考えながら、成留は空になったチューブを捨てて、たっぷりと濡れた秘孔に指を押し込んだ。
「っあ、あ、ふぅう」
「ジェル、冷たいですよね。すぐにあったかくしてあげますから」
「は、ぁあ、バカッ、あ、あ」
「ちゃんといろいろ勉強してきたんですよ、俺」
(うんと気持ちよくして、俺から離れられないって思わせるために!)
心の中でつぶやいて、成留は秘孔を愛撫した。たっぷりと濡れたそこは成留の指に吸いついて、奥に欲しいと訴える。望まれるままに奥をまさぐり、いくつもの弱点を見つけた成留は、執拗にそこを責めた。奏は高く短い悲鳴をあげて、先走りをまき散らす。
(このままじゃ、イッちまう)
奏は腕を伸ばして、ベッドのヘッドボードを掴んだ。
「ふふ。かわいいなぁ」
奏の限界が近いと気づいた成留は、首を伸ばして蜜嚢にぱくつきながら、奏の腰を高く押し上げた。
「っ、あ、は、ぁっ、あぁああ」
蜜嚢を吸われながら秘孔を乱され、奏は涙目であえぎながら成留の頭を太ももで挟んだ。もう、ガマンできない――。
「っ、ふぁうううっ!」
ビクビクと震えながら放った奏の欲が、当人の顔に振りまかれるのをながめて、成留は恍惚の息を漏らした。
「はぁ、すごいエロい」
成留の頭を締めつけていた奏の脚の力が抜ける。体を引いて奏の腰をベッドに落とした成留は、達したばかりの奏を掴み、扱きはじめた。
「ふあっ?!」
解放の余韻も去らぬままに刺激され、奏はとまどう。
「なっ、なにやって……」
上体を起こした奏に、成留はいたずらっぽく唇をゆがませた。
「説明してほしいです?」
「うっ」
ベッドに背中をドサリと落とし、奏はまた両腕で顔を隠した。
「ああ、残念。せっかく顔が見られたのに」
さして残念そうでもない成留は、奏の陰茎を扱きつつ秘孔をまさぐった。奏の腰が無意識にくねって快楽を受け止める。その姿に成留はますます興奮し、いますぐ貫きたい衝動にかられた。
(でも、欲しいって言わせるって決めたしな)
ガマンガマンと自分に言い聞かせ、成留はひたすら奏を高めた。そんな計画など知らない奏は、身もだえながら困惑していた。
(くそっ、なんで入れねぇんだよ)
蠢動する奥が成留を求めている。激しく突き上げられたくてたまらないのに、成留は指でまさぐるばかりだ。
「っ、成留ぅ」
欲しい。
「なんですか、奏」
欲しいと言ってほしい。
意地の張り合いは、奏がふたたび絶頂を迎えるまで続いた。
「ふぁっ、は、ぁあ、あぅう」
痙攣する媚肉に指を締めつけられる成留の股間は限界に達していた。これでもまだ奏が欲しがってくれないのなら、触りながら自慰をするしかないかと思った矢先に――。
「ふ、成留ぅう」
「なんです?」
「ん、もう……、よこせよぉ」
涙声で奏が降参した。成留の股間がビクンと反応する。興奮に荒くなる息をなだめつつ、成留は余裕を装った。
「なにが欲しいんですか?」
やさしく落ち着いた声音を心がける成留に、奏は恨みがましい目を向けた。
「俺にゃあ、やっぱ興奮しねぇのかよ」
「えっ?」
「俺がこんなんなってんのに、平気な顔をしてんじゃねぇよっ!」
ボロッと大粒の涙をこぼした奏に、成留は慌てた。
「えっ、えっ」
「やっぱ、オッサンじゃ勃たねぇんだろぉ」
くやしいし悲しいし体は飢えているしで、奏は体面を保てなくなった。歯を食いしばって涙をこぼす奏に、成留の心が愛おしさに絞られる。
「そんなことないですって! 俺、すっごい興奮してて、めちゃめちゃガマンしてるんですよ」
「ウソつけぇ」
「ウソじゃないですって! ほらっ」
慌てた成留は、証拠を一気に押し込んだ。
「ぅぐっ、ぁ、んあ……」
いきなり質量のあるものに開かれた奏は、うめきながらも成留の頭を引き寄せる。
「っ、は、でけぇ……、っ」
「俺がどれだけ興奮してるか、わかってもらえました? もう、入れただけでイキそうです」
掠れ乱れた成留の声と熱の硬さが、本心だと奏に伝える。
「んっ、イッていいぞ」
「そんなの、カッコ悪いじゃないですか。突っ込んだだけでイクとか、はやすぎでしょう」
顔をしかめる成留の髪を、奏は両手でグシャグシャにした。
「わっ、なにするんですか」
「うるせぇっ! 俺が欲しいつってんだから、よこせばいいんだよ」
「へっ?」
「だ、だから」
真っ赤になった奏は唇を尖らせ、視線をそらしながら白状した。
「奥に、おまえをくれっつってんだよ」
「っ! 先輩ぃいっ」
喜びを爆発させた成留は奏の首にしがみつき、散弾銃のようにキスを放った。
「おわっ、ちょ……、落ち着け」
「無理ですっ! ああ、もう、すっげぇしあわせ」
大興奮の成留に、奏はちょっとホッコリした。
「そうか」
「はいっ! もう、たっぷりと、許してくれって泣きを入れるくらい、俺を食ってもらいますからね、先輩」
「なんだよ、こういうときは呼び捨てにするんじゃなかったのかよ」
「はっ、そうだった」
「カッコつかねぇなぁ? 成留」
「そっちこそ、さっき泣いていたくせに」
「あっ、あれは……」
「ふふ」
成留は浮かれた唇で奏の言い訳をふさいだ。
「先輩のトロ顔を見た俺が、どれほど興奮するか。身をもって味わってくださいよ。絶対に音を上げさせてみせますからね」
「そこまで体力が持つのかよ。俺は見た通り、タフだぜ?」
「俺、まだ二十六ですから。先輩のほうが先にヘバるんじゃないですか?」
「オッサンの体力、なめんな」
「じゃあ、思い切り堪能させてもらいますよ」
「っあ、いきなりそんっ……、トバしすぎ」
「それだけガマンしてたってことです! いままであしらわれてきた分、まとめて受け止めてもらいますからねッ!!」
「んぁあっ」
宣言通り、成留は奏が音を上げるまで勇躍し、奏は淫らな涙で顔をグチャグチャにしながら、放埓に喜悦の啼き声を放ち続けた。
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