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※久方ぶりの甘い夜※

久方ぶりの夜はどんな甘味よりも甘い  障子から月明かりが射し込む夜、銀雪は零月を見下ろしていた。 「銀雪………」  氷雨の帯を解いて前を広げると、あの時よりも白い肌があった。そしてただでさえ細い身体は、更に薄く骨が浮き出る程に痩せていた。両親を喪ってから食が細くなったとは気づいていたが、ここまでとは………。 「お前、もっと飯食べた方がいいぞ。心配になる」  氷雨は柔らかく微笑んで俺の肩に触れた。 「ええ。少しずつでも頑張ってみます。貴方を心配させる訳にはいきませんから」 「分かっているなら良い」  氷雨の唇にゆっくりと己の唇を重ねる。氷雨は抵抗せず受け入れると、ゆっくりと俺の頭を抱きしめた。  「んっ………ぅ……あ……」  舌を絡めれば酒に溺れたように、身体が熱くなっていく。氷雨が苦しくないように逸る気持ちを抑えつつ、舌を深く絡めた。無防備になっている胸の頂きに手を伸ばすと、氷雨の身体が震える。 「あんっ……ん……う……」  胸の頂きを摘まんだり捻ったりすると、頂きが固くなり始め、時折唇から漏れる吐息が甘くなる。唇を離すと、氷雨は肩を上下させて息をしていた。 「銀雪……っ……長いです……! 人の息はそんなに続かない………!」  氷雨の潤んだ青い瞳は少し怒ったように俺を睨み付ける。 「ごめん。ちょっと興奮し過ぎた」  滴を溢している目尻の辺りに口付けると、氷雨はしょうがないですねと俺の耳に触れた。 「今宵…何もかも忘れる程抱いてくれるなら許しましょう」 「いいのか?お前、次の日動けなくなるかもしれないぞ」  今まさに口吸いで無理をさせてしまったのだ。これ以上あまり無理をさせたくないのだが……。氷雨はただ微笑む。 「帰るのは明後日です。だから動けなくなるくらい…愛してください」 「ああ愛するとも…愛しい我が主」  氷雨の唇に触れ合うばかりの口付けを施すと、汗ばみ始めた額に口付ける。鎖骨、そして胸に唇を落としながら、指は壊れ物を扱うかのように身体に這わせていた。 「あっ………!」  固くなった胸の頂きを口に含み舌で転がすと、氷雨は堪らないとでも言うように身体を捩る。離してやるものか。俺はそう言う代わりに氷雨の細い腰を掴むと、片手で褌をゆっくりと外した。そしてその自身に触れてみると、それは固くなっており、先から溢れさせている。 「ひぅっ………んん……ぁ……」 「氷雨期待しているのか?」  そんな意地悪な質問をぶつける。氷雨は甘い声を上げながら答えた。 「勿論っ……ですよ……。久しぶりにっ……愛する人に抱かれるのですから」  ああ、もう。どうしてこんなにも氷雨は可愛いのだろうか。俺は興奮のままに抱いてしまいそうな衝動を抑えながら、氷雨が持ってきたいちぶのりを口に含んだ。 「氷雨、慣らすぞ」 「はい……」  久々のことで恥ずかしいのか、氷雨は顔を紅潮させながら足を開いた。氷雨の秘所は、期待でもするかのようにひくついている。俺はいちぶのりを指に纏わせると、そこにそっと指を入れた。 「はっ……」  指が入り込むと氷雨は大きく息を飲む。しばらくやってなかったせいか、始めての時のように氷雨のそこはキツく、俺は氷雨の身体の緊張を解くために氷雨と口吸いしながら、そこを解していく。 「んっ……ふ……ぁ……むぅ……」  先程よりも息がしやすいように時折唇を離してやると、そこから甘い声が漏れ出す。そして指でいつもの場所に触れると、氷雨は大きく身体を仰け反らせた。 「あっ……ああっ!」  快楽を感じたのか、氷雨の瞳から一筋の涙が零れる。俺はそれを舐めとりながら、指を増やした。 「あんっ……銀……雪……もう……挿れて……」 「もう挿れていいのか?」  こくんと氷雨は首を縦に振る。それが子供っぽくてくすりと笑うと、俺は褌を解いて自分のそれを宛がった。 「銀雪……貴方をもっと感じたいから……脱いで…」 「そうだな。俺も氷雨をもっと感じたい」  氷雨が恥ずかしげに目を伏せる中、俺は衣を脱ぎ捨てる。そして一糸纏わぬ姿になると、氷雨を組み伏せる体勢に戻る。すると氷雨は俺の首に腕を回した。氷雨の瞳は期待するかのように俺を見つめている。 「氷雨…挿れるぞ」 「はい……銀雪……来てください……ひっ……あ……!!」  氷雨の秘所に自分の熱を押し込むと、氷雨は身体を大きく身体を仰け反らせながらも、俺を離すまいと俺の身体にしがみつく。俺は氷雨の舌を絡め取りながら奥へと埋めていく。 「ふ……んぐ………ぁ……は」  今の口吸いが一番甘ったるい。甘美な快楽が身体を包み込む。氷雨も同様なのか、俺の舌を懸命に絡めようとする。そんなことをしているからか、完全に奥まで俺は熱を氷雨の中に埋め込んだ。少し動くと、熱い氷雨の中が締め付けてくる。 「あっ……銀雪……」 「氷雨、俺の物を締め付けてくるぞ。そんなに俺のが欲しかったのか?」  意地悪くそんなことを訊くと、氷雨はふてくされたように目を逸らした。 「当たり前ですよ。銀雪に抱かれたかったのですから」  氷雨のふてくされる顔も可愛い。氷雨の頬に手を添えて此方を向けさせると、唇を重ねた。 「俺もお前を抱けて嬉しい。氷雨、動くから俺にしがみつけ」 「は……い」  氷雨の返事と同時に俺は腰を動かした。 「ん……あっ………銀…雪」 「氷雨っ……」  愛しいものを抱けば本能が引き摺り出されるもので、俺は律動を早めていた。 「ひうっ……あん……あ……ふ……!」  互いの肌が熱くて堪らない。理性がどろどろと溶けていく。氷雨も腰を振って俺を求めた。 「銀雪……もうっ……!」  氷雨の瞳はとっくに甘く蕩けていた。 「分かった。一緒に……」   氷雨の快楽のあまりに溢している熱を手で扱くと、氷雨は甘い嬌声を上げる。 「あっ……ああっ……!!」  氷雨の熱が爆ぜると、中が俺の物を搾り取るように俺のを締め付ける。そして俺も、氷雨の中に白濁を注ぎ込んだ。  その後、俺と氷雨はただ互いを求めて肌を重ねる。気がつけば俺と氷雨の身体は噛み跡と口付けの跡だらけになっていた。 「氷雨、大丈夫か? ………ごめん、興奮しすぎた」  恥ずかしいどころかこれは痛々しいだろう。俺は噛まれたことが少し嬉しかったが。 「いいえ。私も貴方を噛んでしまいました。痛かったですか……?」  そっと氷雨は俺に付いた噛み跡に触れる。そんな仕草も愛おしくて俺も氷雨に付けた噛み跡に触れた。 「いいや。お前がそんなに俺を求めてくれるのが嬉しかった」  よくもまあ互いにこれ程求めあったものだ。俺がおかしくて笑ってしまうと、氷雨もつられて笑う。ひとしきり2人で笑い合うと、俺は氷雨と抱き締め合った。 「氷雨、俺はお前を愛している。お前が死ぬまでずっと傍に居てやる」  氷雨は目を細めると、柔らかく微笑んだ。 「僕も貴方を愛しています。貴方とずっと傍にいます」  氷雨がこの先将来伴侶を得るかは分からない。それでも、今はお前と2人だけでこの夜を過ごしたい。氷雨を抱きしめながら、2人で眠りに落ちた。

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