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第6話 降参する

「そんなに締めてると動けねぇよ。俺を押し出してみろ」  軽く腹に力を入れて押しだそうとすると、ずるり、と引き抜かれ、内壁を持っていかれそうな感覚に背筋が震える。 「そのまま力抜いたまま……」    ゆっくりとそれはまた挿入されて、一番奥に到達する。  押し込まれる時の方が、ゾクゾクする。   「うっああっ……あん……」    2、3度ゆっくりと出し入れされて、痺れるような感覚が広がり始める。   「声出してんの、痛いのか? それとも気持ちいいのか?」    動きを止めて神谷が問いかける。   「わ、わかんないっ」 「そんなことあるか。声が出るのは痛いか気持ちいいかどっちかだ。どっちだ」    確かめろ、というようにまたゆっくり引き抜かれて、ゆっくりと押し込まれる。   「ひっあああっ、あっ、あっ」 「痛いのか?」 「いたっくっないっ、んあっ」 「なら、気持ちいいんだろ。どっちなのかちゃんと口に出して言え」 「きっ気持ちっいい」 「気持ちいいなら、もう少し強く擦ってやる」    その言葉通りに、次は内壁を少し強く擦りつけるように押し込まれた。  快感が広がっていくのがわかる。   「気持ちいいか」 「いいっ……はっ……んあっ」 「なら、もっと強く擦るぞ」    ぐりぐり、っと擦りつけられるように奥まで貫かれると、得体の知れない強烈な快感が通り過ぎて腰が跳ねた。   「今のは?」 「気持ちいいっ! ああっ」 「もっとか?」 「もっと……」    何も考えられなくなり、オウムが言葉を教えてもらっているように神谷の言うことを繰り返してしまう。  そして気持ちいい、と口に出すたびに少しずつ与えられる快感が強くなっていく。  麻薬に溺れていくようだ……と高田は朦朧とした頭の片隅で思っていた。  もう一度、気持ちいい、と言えば次はどんな快感が与えられるのかと、餌を待っている犬のように服従してしまう。   「なら、さっきのココ。思い出せ」    浅いところのポイントに、塊の先端を突きつけられてずん、と別の強い刺激が下半身に広がった。  そこをゆるゆると擦るような小さな動きにさえ、渦のような快感が広がる。   「やあっ、やっ、そこは……やめっ……ひっあっ」 「気持ちいいんだろ?」 「きっきも、ち、いいけどっ」 「なら、こうしてやる」    ぐりぐりっと抉られると、鋭い快感の芽が生まれて、みるみる広がっていく。   「あああ……ダメっ……ひっ……おか、おかしくなるっ……」    ゆるゆるとその箇所を擦っていた固いモノが、突然ずぶっと奥まで挿れられる。   「そろそろ、俺も我慢できなくなってきた」    ずぶり、ずぶり、と遠慮なく突き立てられて、高田はもうひたすら快感を追いかけていた。  こんな気持ちいいセックスがあるなんて、信じられない。  これでイったら、神経がおかしくなってしまいそうだ。   「いい具合にとろけてきた、お前の中。最高」    腰を大きく回すように動かされると、内壁が変形しそうなほどにかき回される。   「ひいっ、あああっ、それっ、あうっ」 「これが、何」    ぐりん、ぐりん、と腰を回されて、高田はほとんど泣き叫ぶように喘いだ。  もう、自分でも何を口走っているのかよくわからない。   「きっ気持ちいいっ、死ぬっ……死んじゃうっ」 「死ぬ前にイけよ。ほら」 「む、無理っ、イけないっ、ああっ、変、変になるっ」    イきたくてもイけない辛さに、無意識に高田は自分のモノに手をのばそうとしてしまう。  神谷がその手を捕らえて、頭の横に押さえつけた。   「ダメだ。後ろだけでイけ。そのためにやってんだぞ」 「も、無理……いやああっ……あああ……」 「嫌がられると萎える、っつったろ!」    怒ったような神谷の声に、びくっと高田は怯える。   「俺を萎えさせたら、あそこに売ってるバイブ買って突っ込んで、ここに擦りつけるぞ。お前がイくまで」    ぐりぐりっと一箇所を強く抉られて、高田はのけぞって悲鳴を上げた。  そんなところにバイブを突きつけられたら、確実に精神が崩壊してしまう。   「イけないっ……も、勘弁して下さいっ……1回目でイけたらほめてやるって先輩言ってたじゃないですかっ! 無理ですっ! 初めてなんだからっ!」    泣いて怯える高田の顔に、神谷はやる気をなくしてしまったようだ。  しまった、と本来の目的を思い出した高田はまずい、と頭のすみで考える。  神谷の機嫌を損ねるのはまずい。   「先輩、俺、逃げませんから……今日イけなくてもイけるまで逃げませんから……バイブは勘弁して下さい」 「ま、明日仕事だしな。ヤりすぎはまずいか」    高田を押さえつけたまま、神谷は何か思案している。   「週末、仕切直しだ。そん時は時間たっぷりあるから、容赦しねぇぞ」 「それでいいです、今日は……もう……」 「もう、なんだ。やめてほしいのか」    違う。もう限界なのだ。  イきたくて。   「やめるんじゃなくて……」 「イきたいんだろ。もうお前のこれ、ぐちょぐちょだもんな」    神谷はニヤっと笑って、高田のモノに触ってやる。   「あああっ先輩っ気持ちいいっ」    待ち望んだ刺激が与えられて、身体が震える。   「俺も、もうイクぞ」    ずぶり、っと思い切り貫かれて、扱かれた瞬間に高田はひと突きで弾けるように達してしまう。  びくびく身体が痙攣して、快感の渦が全身に広がった。  神谷がポイントを狙い打ちするように突き続けると、高田の身体が魚のように跳ねる。   「ひっあっ、あ、あ、ああっ、ふあっ」 「高田、背中に手、回せ」 「いいっ、せ、先輩っ、ああ、すごいっ……」    あんなに怯えた顔したくせに、と神谷は苦笑しながら強く腰を打ちつけてやる。    暢気なやつだ。  あれだけのミスを人に尻ぬぐいさせておいて、すっかり忘れたように気持ちよくなってやがる。   「あ、あ、またイっちゃう、なん、か、すごいっ、ああっ気持ちいいっ」 「締めつけてみろ。ぎゅっと」    神谷の言葉に反応するように、高田が後孔をぎゅっと締める。   「ここ、忘れんなよ」    締めつけられながらポイントに強く擦りつけて、前を扱いてやるとまた高田は悲鳴を上げて達した。  内壁がひくっひくっと痙攣して、神谷のモノをしゃぶるような動きをする。   「うっすげえな……くっ」    すでに意識がもうろうとしている高田の中へ思い切り欲望を放つ。   「あっ、先輩、のが……どくどくって……中に……」    もう、高田は何を口走ってるんだか、と神谷は呆れている。   「お前、約束破るなよ。今日のは全然見返りになってねぇぞ。わかってんのか」    ぺち、っと軽く頬を叩くと、高田はわかってます、と力無く答えた。    

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