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第10話 約束違反

 望んだものは、すぐに与えられる最高のセックス。  こんなものを知ってしまうと、他の人とは一生セックスできなくなってしまう、と高田は思ってしまう。    神谷はローションを手にとり、ずぶり、と奥まで指を差し込んだ。   「ああっ! そこっ」 「覚えてるみたいだな」    クスリ、と笑って、神谷はゆっくりとそのポイントを指で擦ってやる。  あれから3日目だが、前よりずっとすんなりと高田の身体は神谷の指を受け入れた。   「お前、ひょっとして、家で自分でやってた?」 「だ、だって、そこ、固いと先輩も辛いって言ってたから……あああん」 「練習したのか」    高田が家でそんなことを練習している姿を思い浮かべて、神谷はクスクス笑う。   「なら、練習の成果見せてもらうぞ」    いきなり指を3本に増やして、ドリルのようにぐりっとつっこむと、ひっ、と悲鳴を飲み込むように高田がのけぞった。   「痛いか?」 「だい……じょうぶ……痛くない」 「我慢してないだろうな」 「気持ち、いい……もっと、ぐりぐりして、ああっ、ん」    強すぎる刺激に耐えるように、高田が身悶えする。   「せんぱ……もっと、そこ、あっ、俺っ、イけるかな……今日、はっ」 「もう、挿れるぞ」    たっぷりとローションを足して、ぬくり、と先を挿れると、飲み込むような動きで高田の身体の中に引き込まれて神谷は驚く。  ゆっくりと押し込んでいくと、ひくり、ひくり、と中がうごめいて、神谷のモノを誘い込んでいく。  こいつ余計なテクニックつけやがって……と神谷は苦笑する。  一番奥まで挿れると、ああ、っと満足そうに高田は神谷のモノを締めつけて腰を揺らした。   「先輩……うまくイけなかったら……ごめんなさい……んっんん……」 「余計なこと考えるな。頭からっぽにして、気持ちよくなっとけ」    ずぶり、と突くたびに、高田の中が絡みつくように反応する。  まずいな、俺が持っていかれそうだ、と神谷は高田のモノに手をのばす。   「あ、あ、せんぱ、いっ……触っちゃだめっ! イっちゃう、あっああっ」 「高田、1回イっとけ」 「ど、どうしてっ、ひああん、気持ちいいっ」 「俺、今日体力ねぇわ。後ろでイかせてやる自信ない」 「ひ、あ、うっんっ……イって、いいのっ?」 「いいぜ。イけるか?」    前をぐちゅぐちゅ扱きながら、ぐりぐり高田のいいところをかき回してやると、高田はぶるぶる身体を震わせて喘ぎ始めた。   「うあっ、あっ、あっ、イクっイクっ、せ、先輩っ」 「どうした、イっていいぞ」 「せ、ん、ぱいもっ、んんっ、気持ちいいっ?」 「ああ、もう爆発寸前」 「よ、かったっ、あああっ、イクっ!」    ずくずく、と急所に打ちつけてやると、高田はのけぞって達した。  ぎゅう、と締めつけられた中を突き刺すように貫いて、神谷も思いきり放出する。  息をぜいぜいきらせながら、2人ともベッドのうえにどさ、っと倒れ込んだ。   「悪ぃな、約束違反で」    神谷はうつぶせにへたばっている高田の頭をなでてやる。   「俺はいいけど……後ろでイってほしいの、先輩なんだから」 「ちょっとさ、今週、睡眠不足で」    普通にセックスしてしまった……と、2人とも思っていたのだが、その心中はやや違っていた。  高田はなんだか嬉しかったのだが、神谷はちょっと自己嫌悪に陥っていた。  後ろだけでイけたら解放してやる、と約束しておきながら、前を触ってイかせてしまうのは卑怯だよな、と思う。  高田はこれで、嫌でももう1回は神谷とセックスしないといけない。   「ちょっと、寝てもいいか」    神谷の顔を見上げると、眉間にシワを寄せて額に手をおいている。  疲れてるんだろうか……  俺がなんか、気に障ることしたかな……   「いいですけど……俺、どうしたら……」 「勝手に帰ってもいいし、シャワー使うなら使ってくれ」 「あの、俺……なんか、気に障ること言っちゃいました?」 「いや、なんで?」    神谷は目をあけて、不思議そうな顔をする。   「帰ったほうがいいですか?」 「ヤることヤったから、もう用事ねぇだろ」 「そう……ですね」    しゅん、としてしまった高田の顔を見て、神谷は言い方が悪かったか、と反省した。  高田の腰に手を回して抱き寄せてやると、高田はびくっと怯えたような顔をする。   「お前も、ちょっと寝ていくか?」 「いいんですか?」 「ああ……帰る時、起こしてくれ」 「じゃあ、お言葉に甘えて」    セミダブルのベッドは、男2人には少し狭い。  ぴったりと寄り添うように高田が横になると、神谷は黙って目を閉じたまま、腕枕をしようとする。  ドキ、っと高田の胸が熱くなる。  息がかかるほどの距離に、神谷の端正な顔がある。   「先輩……」    そっと呼びかけると、神谷は目を閉じたまま、腕枕をした手でぽんぽん、と返事をするように高田の頭を軽くたたいた。  それからすぐに寝息を立て始めた。  

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