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第11話 イってしまった…

 寝入ってしまった神谷の横顔を至近距離で眺めながら、高田はまったく眠れずにいた。  神谷は時々上を向いたり横を向いたりするが、高田に背を向けることはなく、横を向いた時には多分無意識だろうけど、軽く抱きしめてくれたりする。  そうか、先輩はこっち向いて寝る人なんだ、と知っても仕方がないようなことを発見してはため息をついてしまう。  男とつき合うってこういうことなんだ、と身体が覚えていってしまう。    これから先、どんな女とつき合っても、腕枕をしてもらえることもないだろうし、軽々と抱き上げてもらえることもないだろう。  乳首を舐められることも、指やいろんなモノ突っ込まれることも、もちろんない。    なあ、先輩……  これから俺のこと、どうするつもりなんだよ。  俺にこんなこと教えこんで、俺、ゲイじゃないんだから、他の男と寝ることもできないし。  先輩がいないと生きていけなくなったらどうするんだよ。    最初は無理矢理だと思った。  人生に一度ぐらいこんなことがあっても仕方ない、と諦めて身体を差し出した。  身体が傷ついたとしても、そんなものはすぐに忘れられるだろうと思った。  麻薬やギャンブルにハマる時って、そんなもんなんだろうな、と苦笑する。  一度知ってしまうと、抜けられなくなって、泥沼にハマるんだろう。    俺、今、その一歩手前にいるんじゃねぇの?と高田は自分に問いかける。  『見返りにヤらせろ』って言ったやつに抱きしめられて胸ときめかせてるなんて、末期的だろ、と自嘲する。    先輩が悪いんだ。  もっと嫌なやつならこんなことにならなかった。    こんなキレイな顔してさ。  セックスも優しくてさ。  頭も良くて、仕事もできて、頼りになって。  ちょっとは憧れてる部分だってあったんだ、と思う。    今までは雲の上の人みたいに近寄り難かったんだけど……それが突然こんな近い距離に引き込まれて。  休日に抱き合って、昼寝するなんて、ぬるま湯みたいな幸せ与えられて。  これ、もうほとんど恋人じゃん。    結局、高田も寝入ってしまって、目が覚めたのはすっかり日が暮れてからだった。  神谷はまだ眠っている。  よっぽど疲れてたのかな、とそっとベッドを抜け出し、来る時に買ってきたペットボトルのお茶を取りに行く。  お茶を持って寝室に戻ると、神谷がベッドの上に起きあがって、なんだかちょっとうろたえたような顔をしていた。   「先輩、起こしちゃいました?」 「あ、いや……まだいたんだな」 「俺も、ついさっきまで寝てたんです」    高田はベッドの端に腰掛けて、飲みます?と飲みかけのお茶を差し出す。  それを受け取って飲んでから、高田にまた返してくれた神谷を見て、ほら、恋人みたいじゃないか、と高田は心の中で思っている。  間接キス、という言葉が心に浮かんで、ふと寂しい気持ちになる。  これだけ深い関係なのに、キスだけは間接かよ、とつっこみたくなる。    言葉もなく、寝起きのけだるい空気に、ぼーっとしていると、神谷が突然後ろから抱きしめてきた。   「続き……するか?」 「先輩、疲れてるんじゃないんですか」 「寝て起きたら勃ったんだ」    端的な説明が神谷らしくて、思わず笑ってしまう。  黙っていたら、背中に固いものが擦りつけられた。   「嫌か……?」    抱きしめながら耳元で囁くのは反則だ、と高田は思う。  寝起きで少しハスキーな声に囁かれて、甘いムードに流されてしまう。  わざとやってるなら、相当の女たらしだぞ、……いや、男たらしか。    でも、これは約束だ。  後ろでイけるまでやらせる、と最初に約束したのだから、拒否権はない。  抱きしめられたままベッドに倒れ込むと、神谷は確かめるように後孔に触れる。   「いきなり挿れてもいいか」    手早くローションを塗りつけて、少し無理矢理に神谷のモノが侵入する。   「あ……すご……いっぱい……」    数時間前まで繋がっていたそこは、神谷の大きさを受け入れてしまう。  めざめてまだクリアな神経を少しずつ蝕むように、ずり、ずり、とゆるやかな抽送が繰り返され、そのたびに痺れるような甘美な渦がわき起こる。   「お前の中、俺にぴったりになったな……」    そうだ、ぴったりだ。  きっと中は真空状態に違いない。  ぎゅうぎゅうに擦れながら、何度も、何度も押し込まれて、身体の血が沸騰しそうな激しい快感が波のようにやってくる。   「あ……あ……せ……んぱ……い……」 「気持ちいいか」    神谷は乳首を弄びながら、首筋にねっとりと熱いキスを落とす。   「ひっやっ……んんっ……んああっ」 「もっと感じてみろ、ここだ」    小刻みに急所を狙い打ちされて、高田は全身がぶるぶる震え出す。   「ああっ……あ、あ、あ、あああん!」    突然硬直したようにのけぞった高田の身体が、がくがくと激しく痙攣した。  ん?と神谷が高田のモノを見ると、先端からとろり、と白い液体があふれ出す。   「イったか……」    急に凶悪な気持ちがわき起こって、神谷は急所をずん、ずん、と強く突いてやる。   「ひやああっダメっ! あうっ! やめ、やめてやめてっ、壊れるっ」 「イけ! もっと!」 「む、無理っあっ、ひ……ひやあっ、ヘン、ヘンになるっ、あん、ああっ」    高田は泣き叫びながら、身体を痙攣させている。  ぐっと急所に擦りつけると、びくびくっと身体がはねて、また先端から液がぴゅっと飛んだ。  神谷は夢中で起きあがると、いや、いや、と悶える高田を力ずくで組み敷いて両足を抱え上げた。  ずぶり、と奥まで一気に突き刺して、激しく腰を打ちつけると、ついに高田は精神の糸が切れたように恍惚とした表情を浮かべて、ぼろぼろ涙をこぼし出す。   「いやああっ、またっまたっ、ひっ、い、イクっイクっ! せ、んぱい……」    宙に向かって差し出された高田の腕を、神谷は自分の背中に回してやる。   「俺もイくから。しがみついて」    うん、うん、とうなずきながらひし、と抱きついてくる高田の髪をなでて、神谷は高田のモノを強く扱いてやった。   「出るっ、あっ、あん、あん、イクっ!」    のけぞりながら、今度は勢いよく弾けた高田の中に、神谷も思いきり欲望をはき出す。   「せんぱ……い……俺……イっちゃった」    ふ、と寂しげな笑みと涙を浮かべて、高田は目を閉じると、動かなくなった。  意識が途切れる寸前に、唇がなにか温かく包まれるのを感じながら。  

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