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第18話 本当の気持ち

 神谷は呆然としている高田を見て、はあ、ともう一度ため息をついた。   「なあ、こういうの、もうやめねぇ? 俺、お前にだったら1回ぐらいヤられてやってもいいと思ったけどさ……お前、俺のこと好きなんだろ?」    高田が驚いて神谷の顔を見ると、神谷はちら、っと目を合わせて、それからふいっと照れたようにそっぽを向いた。   「知ってたんですか……」 「気づくっての! ゲイでもないやつが、キスして突っ込んでくれ、って言うか? 普通」 「ダメですか?」 「ダメじゃねぇよ。ダメじゃねぇけど、交換条件なんかで始めるとお前が後悔する、って言ってるだけだ」 「後悔なんかしませんよ。俺、身体だけでもいいんです」 「だから、それがダメだっつってんの!」    神谷は困ったように、頭をガシガシと掻いた。   「お前がどう思ってるか知らねぇけど、俺、身体だけ狙ってるような鬼畜じゃねぇぞ。恋愛傾向はいたってノーマルだ」 「まあ……ノーマルというかなんというか」    男もいけるというのはノーマルというんだろうか、と高田はつっこみたくなる。   「お前と交換条件なんかでセフレになるのはごめんだ」 「じゃあ、俺、どうしたらいいんですか」 「ちゃんとすればいいだろっ!その……つき合うとか」    神谷は照れたように顔を赤らめて、ふい、とそっぽを向く。  その様子があまりにめずらしくて、高田は呆気にとられ、それから急に胸がドキドキし始めた。   「先輩、俺の恋人になってくれるんですか?」 「言っとくけど、これ、もう交換条件じゃねぇからな!」    神谷はぐい、と高田を抱き寄せると、そっと唇を重ねた。  乱暴な言葉とは裏腹の、優しいキス。  きっと、言葉より態度より、このキスが先輩の本当の気持ちだ。  俺ときちんと向き合ってくれた……と高田は胸が熱くなる。    神谷はそのまま高田を押し倒す。    絡まる深いキスにめまいがしそうになる。  やっぱり先輩はテクニシャンだ。  俺って幸せ……   「ふん……んっ……せ、先輩っ」    高田がぶるっと身体を震わせて、唇を離す。   「どうした」 「キスで……イきそ……」    しがみついてくる高田に、神谷はクスクス笑ってしまう。   「お前、ヤられる方が向いてるわ。やっぱ」    乳首をペロンと舐めてやると、びくん、と反応する。   「こんなに敏感じゃあな」 「あ、あんっ、ひやっ、ああっ、きも、ち、いいっ、あああん」    ちゅる、っと音を立てて吸いつくたびに、高田の身体が跳ねる。   「ひ、や、あ、先輩っ、あん、う、後ろ、指っ指っ挿れてっ」    まったく、と苦笑しながら神谷はローションを手に取り、つぷっと後孔に差し込む。   「あああっ、そこ、そこ、ぐりぐりしてっ」 「お前、ほんと、俺好み」 「あん、あん、気持ちいいっ……早く、早く挿れて、先輩のっ、おっきいの」 「お前、また家でやってたな。淫乱ちゃん」    指を何本もすんなり飲み込んでしまう身体に、神谷は結局高田は抱かれるつもりだったのだと確信して笑ってしまう。   「ひ、ダメっ、もう、早くっ、早くぅっ」 「た、か、だ。俺の顔見て。ちゃんと欲しいって言ってみな」 「ひ、あ、ほ、欲しいっ、先輩の、おっきいの……すごいのっ、欲しいっ」 「そんな余計なことまで言うか」    プ、っと神谷は吹き出し、指を引き抜くと入り口にぐり、と突きつける。   「先輩っキス、キスもして」    とろけるようなキスをされながら、ぐぐ、っと塊が身体に押し入ってくる。   「ふんんん……んんっ、ふはあっ、あっ、あ、あ、むんんっんー!んー!」    激しく神谷の舌に絡みつきながら、高田はびくびくっと身体を硬直させた。   「あ、お前」 「キス……で、イっちゃった」    さすがの神谷も、驚いたように笑う。   「お前、可愛いわ。最高」 「ああん……気持ちいいっ、あ、そこっ、ひあっ、もっと、あんっ、あん」 「もう1回イっとく?」    ぐりんぐりん、と抉るように腰を回すと、高田はかん高い喘ぎ声を上げてのけぞる。   「あああっ、また、またなんか、すごいっ、ああっ、ダメダメっ、いいっ」 「ダメなのか、いいのか、どっちだよっ」 「あっ、突いてっ、そこっ、ひっ、あ、イクーっ、先輩っ……すごいすごい、あああんっ」 「大騒ぎだな」    クスクス笑いながら、神谷はずくずくと急所を突き続けてやる。  高田は恍惚とした表情を浮かべて、ねだるように神谷を締めつけながら、身体を痙攣させた。   「もう、俺もイって、いい、です、か」 「あ、まだっ、もっと、あ、イクっ、イクっ」 「どっちなんだよ」 「せ、んぱい……一緒……にっ」 「了解。イくぞ」    神谷が高田のモノをぐちゅっと強く扱くと、高田はびくびく下半身を震わせる。   「先輩、き、も、ちいいっ」 「俺も。あ、締まる、すげっ」    打ちつけるように激しく突きながら思い切り神谷が精を放つと、高田も自分から腰を擦りつけるようにしてのけぞりながら達した。  息も絶え絶えの高田に、軽く2、3度キスを落として、神谷はごろん、と横になる。   「あー俺、もう今日は無理。限界」 「俺も無理です……」 「続きは明日な」    神谷が高田の頭をなでてやると、高田は嬉しそうに照れた。   「泊まるんですか?」 「どっちでも。明日休みだし」 「じゃあ、俺……泊まりたい」 「このまま寝るか……」 ◇ 「おい、メシ行くぞ」 「はいっ」    待ってました、というように高田が満面笑顔を浮かべる。   「お前ら、最近仲いいな」    同僚が不思議そうな顔をして2人を見る。   「そりゃあもう! 俺、神谷先輩のしもべですからっ!」 「お前は犬か……」    しっぽがあったらちぎれてるぞ、と神谷は苦い顔をするが、高田はご機嫌MAXだ。   「行くぞ」 「あ、待って下さいっ、先輩っ」    高田は本当に犬のように、神谷を追いかける。   「先輩がイクとか言うと、なんか、俺、怪しい気分に」 「脳ミソわいてんな、お前」 「そりゃだって、休日セックス漬けで……」 「声がデカいっ! 仕事とプライベートはきっちり分けろ」    機嫌よく鼻歌を歌っている高田を呆れたように見ながら、神谷は心の中でため息をつく。    俺、なんか、こいつにキャラ変えられてしまいそう……   「先輩、レバニラ定食行きましょう! 先輩には精つけてもらわないと」    なあ、高田。  そんなに期待されても、俺、困るんだけど。    元気よく焼き肉屋に向かおうとする恋人の後ろ姿を見ながら、神谷は少しだけ先行きが不安になった。   【先輩の無茶な要求 ~End~】  

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