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第20話 負けたくない

 その日のデートは高田にとってはさんざんだった。  神谷がいつもより気を使ってくれているのはわかるが、逆にそれが気に障る。  俺に気を使う先輩なんて、先輩じゃない。    アイツにもこんな風に優しくしていたんだろうか……  アイツ、わがままそうだしな、と思うとはらわたが煮えくりかえりそうだ。  自分がこんなに嫉妬深くてめめしいとは思ってなかった、と情けなくなってくる。    食事のときに高田は飲み慣れないワインをしこたま飲んで酔っぱらってしまった。  それも、アイツならワインの一本ぐらい飲み干しそうだ、と根拠もない競争心が芽生えてしまったせいである。  神谷が止めるのも聞かずに、がんがん飲んでしまった。   「おい、大丈夫か? 今日は帰るか?」 「ヤだっ、今日はラブホに泊まるって言ったじゃないですか」    足をふらつかせた高田を、神谷が受け止める。  先輩は優しい……だけど情けない。   「飲ませすぎたな。悪かったよ」 「先輩は悪くありません! 俺が勝手に自分で飲んだんだから」 「お前、酒癖悪いのな。知らなかったよ」    神谷は苦笑しながら、タクシーを止めて、帰らないとわめいている高田をラブホに連れて行った。  シャワーを浴びて水を大量に飲んで、高田は酔いをさました。  ここでへたばるワケにはいかないぞ、とムキになっていた。  せっかくの誕生日のデートにエッチなし、なんて思い出は悲しすぎる。   「今日は、おとなしく寝るか?」    ベッドの上で神谷が頭をなでながら、聞いてくる。   「イヤだっ! 朝までするって言ってたのに」 「いいけど……お前、できんの?」    神谷は萎えたままの高田のモノをピンっと指先で弾いて苦笑する。   「ま、お前は勃ってなくてもできるか」    神谷の嘲笑するような言葉に、高田は自分が以前神谷に突っ込もうとして勃たなかったことを思い出してしまった。  ちきしょう、と急に自分に怒りが沸いてきて、思わず高田は神谷をベッドの上に組み伏せる。   「なんだよ……急に」 「先輩、ヤらせて」 「酔ってんのか? お前はヤられる方がいいだろ?」    確かにそうだ。ヤられる方が気持ちいい。  だけど、先輩だって知ってんだろ?  ヤられる方が気持ちいいってこと、その身体は知ってるんだろ!    アイツに抱かれてたんだったら、その快感を知ってるんだったら。  それを与えてやれない俺だったら、いつか捨てられるんじゃないのか。   「俺の誕生日なんだから、俺の好きにさせて」 「お前が弘樹と張り合う必要なんて、全然ないだろ」    神谷の口から、弘樹、という名前が出て高田はプチっと切れた。   「だって、アイツにはヤらせてたんだろ!」    アイツだけが知ってるなんて、許せない。  俺の知らない先輩を知ってるなんて、我慢できない。    これ以上神谷の口から諏訪の名前を聞きたくなくて、高田は夢中で神谷の唇を貪った。  舌を割り込ませて、ぐちゃぐちゃにかき回すと、神谷はそれを優しく受け止める。  いつものように高田の口内に神谷の舌が侵入してくることはなかった。  ただ、高田のされるがままに受けとめる。   「先輩……好きです」    高田は神谷とつき合う前に、つき合っていた女性としたセックスを思い出していた。  そうだ、俺もこうやってやってたんじゃないか。  いつの間にか、神谷に与えられるだけのセックスに慣らされていたけれど。    今度は優しく唇を触れ合わせて、丁寧にまさぐるように舌を絡ませる。  神谷が、そっと高田の背中に腕を回してきた。  キスを深めると、んっと声を漏らして、神谷の指が背中に食い込む。   「仕方ねぇなあ……ヤらせてやるよ」    神谷が高田を抱きしめて、甘い声で囁く。  高田は夢中で神谷の首筋にキスを落としていく。   「こら、見えるところにつけるなよ」 「俺のだから、いいの」    神谷は小さくため息をついて、それでも高田の好きにさせる。  無理を受け入れてくれるのが嬉しい、と高田は神谷の身体にキスマークをつけまくる。    乳首をきゅっと吸い上げると、高田を抱きしめている神谷の指先に力がはいる。  舌先で押しつぶすほど刺激すると、神谷が息を漏らして身体を震わせた。   「智……之……噛んで、それ……あっ……」    軽く歯を立てて甘噛みすると、神谷は小さく身体をのけぞらせてぎゅっと抱き締めてきた。   「先輩、強くされるのが好きなんだ」    神谷が快感に身をまかせる妖艶な顔なんて、初めて見た。  先輩……色っぽい……    軽く歯を立てては優しく舐め回す、というのを繰り返していると、神谷のモノの先端から透明な液がつーっと滴った。  その液を塗り込めるように、ぐちゅり、とモノを扱くと、神谷は少し眉間にシワを寄せて切ない表情になる。  息が早くなり、耐えている表情が悩ましい。  声を上げさせたい、という衝動が高まって、高田は神谷のモノにしゃぶりついた。   「あっ……智之っ……くっ、はっ……」    神谷の指が、シーツを握りしめる。    気持ちいいでしょ、先輩。  もっと気持ちよくしてあげるから。  神谷がベッドの上に放り出していたローションを片手に取ると、高田はモノをしゃぶりながら、後ろに指を突っ込む。  ここまではやったことがある。  どこが気持ちいいかも知ってる。   「ああっ、う、あ……」    ついに声を上げて身体を震わせた神谷に、高田は満足する。    まだまだですよ、先輩、これからです。  こり、っと指先で敏感な場所を軽く抉ると、びくん、と下半身が反応した。  

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