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第12話 甘すぎる時間

「隼人……」  沖田は自らのモノの先端を濡れた指の腹で強く擦りながら、吐息まじりの切ない声で広瀬の名前を呼ぶ。  気持ちいいのか、目を閉じて時々びく、と身体を震わせている。  何もしていない方が身の置きどころがなくて、広瀬はそっと沖田のモノに手を伸ばした。  沖田は広瀬の手の上に自分の手を重ね、一緒に扱き始める。 「隼人……イキそうだ」  沖田は広瀬の頭をぐっと抱き寄せると、激しく唇を合わせながら、手の動きをだんだんと強くする。  舌をきつく絡ませながら沖田のモノを扱いていると、広瀬の方が興奮で息が荒くなっていく。  ぎゅっと抱きしめられた瞬間に、広瀬は手の中でびくびくと沖田が達したのを感じた。  搾り取るように2、3度扱くと、トロトロと液が滴り、手を濡らす。 「キスしながらイクのは最高だよな」  沖田は少し上気した顔で広瀬に軽く口づけると、さすがに照れたように笑った。  広瀬はそんな沖田を胸が痛くなるほど愛しいと思う。  過去にこんなに胸をつかまれたような気持ちになったことはない。    自分のイク瞬間を他人に見せるなんて、そんな恥ずかしいこと広瀬は絶対できないと思うのに。  恋人になら恥ずかしいところもすべて見せてもいい、そんな沖田の潔さにも強く引かれる。  広瀬は自分の手に残った沖田の放った液体を、ペロっと舐めてみた。  思っていたより苦くもないので、ちょっと安心する。  さっき沖田が自分の出したものを飲み込んでしまったのが気になっていたのだ。 「あ、こら、隼人何やってんだ」 「うん、だって食後のデザートって先生が言ってたから」 「馬鹿だな、手、洗えっ」  沖田は目を丸くして、広瀬を小突く。  驚いたようなそれでも楽しそうな沖田の反応が、広瀬は嬉しい。  沖田は追い立てるように広瀬を洗面所に連れて行き、手を洗わせると、ついでに風呂に湯を張った。 「一緒に風呂入るか」 「うん」  広瀬は笑顔で同意する。  もう、恥ずかしがるのは止めた。  恥ずかしがっていたら、貴重な沖田との時間を無駄にしてしまう。  言う通りにしていたら、もっと沖田は自分に触れてくれるだろう、と想像したらドキドキする。  浴槽は二人が並んで入るだけの十分な広さがあった。 「髪、洗ってやるから」  沖田は浴槽のへりに腕を置いて、そこに広瀬の頭を乗せた。 「隼人の髪は細くてキレイだな」 「そうかな……」 「触り心地がいいぞ」  沖田の腕まくらで優しく髪を洗われて、広瀬はこんな幸せがあるなんて今まで知らなかったと思うぐらいの心地よさに包まれていた。  シャンプーが目に入るから目を閉じていろ、と言われて目を閉じていると、不意に沖田のキスがあちこちに落ちてくる。  どこに触れられるか分からないのでドキドキする。  髪を洗っている沖田の手が止まった、と思うと胸に痺れるような甘い感覚が走る。  目を開けられないけれど、舌の先で胸の突起をクリクリと刺激されているようだ。 「ん……あっ……先生……」 「ここも気持ちいいだろ」 「んっ……気持ち……いい……」  素直に認めると、沖田はなおさら丁寧に両方の突起をかわるがわる舐めたり吸ったりしてくれる。  上半身に与えられる快感は、下半身とは違ってどこか甘く切ない。  それでいて幸せな痺れのように思う。  じわじわと真綿で包まれるような気持ち良さがたまらない。 「流すぞ」  やっと沖田が胸を舐めるのを止めてくれた時には、広瀬はすっかりのぼせてしまいそうになっていた。  入浴剤でお湯が白く濁っていたのが幸いだが、さっき出したばかりなのに下半身はもう元気を取り戻している。  どうやってお湯から上がろうかと思っていたら、沖田が先に出て自分の髪を洗い出したので、広瀬はその間に必死で平静を取り戻した。  スポンジにボディーシャンプーを泡立てて、2人で洗い合いながら、シャワーを浴びた。  沖田は大切なものを抱きかかえるように、裸の身体を広瀬に密着させて、撫で回すように全身を洗ってくれる。  ただそれだけで、息が苦しくなるほど広瀬は幸せだと感じる。  シャワーの下で濡れながら、抱き合って何度もキスをした。  相手が沖田だから、まるで映画のワンシーンのようだ。  これほど熱い恋人の戯れを、広瀬は知らない。  今日一晩で心臓が壊れるんじゃないかとさえ思う。  風呂から上がると、沖田はドライヤーで広瀬の髪を乾かしてやる。  少し長めの広瀬の髪を乾かす間に、沖田の方は自然乾燥だ。    沖田は本当に恋人には甘い。  世話を焼きすぎるほど焼く。  ほとんど人に世話を焼かれたことのない広瀬にはそのひとつひとつが宝物のように素敵な時間だった。

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