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第61話 可愛い子
シャワーはひとりで、した。
「……平気、かな」
まだタオルで拭っただけで濡れている髪を手櫛で整えて、洗面所前の鏡でじっと自分を見つめる。
「……」
するの、久しぶり。
頬、真っ赤。
まるでのぼせたみたい。
可愛い、かな。
なんて、思ってみたりして。男だから本来可愛いわけないんだけど。
でも義信さんのことは誘惑したいから。
だから可愛く見られたい。そう思ってもらいたくて、義信さんから貸してもらった家着の袖で自分の口元を隠してみた。
サイズが大きい、たったそれだけのことで綺麗にした身体の奥がキュッとした。
袖がだらしの無いほど余った肌触りのいいTシャツにキスをするように、自分の唇に触れる。
ちゃんと着替えは持ってきたよ。今日は泊まるつもりで来たから。でも、それは本当に寝る時に着たらいいからと、これを貸してくれた。あとでもう一度シャワーは浴びるからその時に、って。
まだ寝ないから。
「……ん」
恥ずかしい。ただ「彼氏」の服を着ただけで……。
ほら、ここ。
「……汰由」
「!」
ノックを二回、そして間を置くことなく開け放たれた扉。振り返ると腕まくりをした義信さんが目を細めながら俺のことを眺めてた。貸してもらった家着はこのTシャツだけ。下着もルームパンツも身につけてない。
「待ちきれない」
「あっ……」
義信さんが髪の香りを確かめるように濡れた黒髪にキスをしてくれた。
そして、すでに、もう――。
「あっ……」
「汰由」
「ごめ、あのっ」
「可愛いな……」
興奮してるの、すぐに見破られちゃった。
「ここ、もう、こんな?」
「っ」
指摘された気恥ずかしさにお風呂上がりで赤くなっている頬が更に赤くなる。そして、その頬に背後からキスをされて、服越しに大きな手に包み込まれた自分の固くなったそれに、とろけて、すごく興奮している自分が鏡に映ってる。
「あ、あ、あ、ダメ、すぐ」
イッちゃうの。
義信さんから借りた服の袖で口元をキュッと抑えて、零れ落ちる甘ったるい声を少しでも堪えようとした。
恥ずかしいよ。
もう、こんな、なの。
「義信さんの服、大きくてドキドキしちゃって、俺」
今にも達しちゃいそう。
「義信さん、の、手、好き……イっちゃう、も、ぉ、汚しちゃう」
「服くらいいくらでも」
「や、この服、気持ち、ぃ」
義信さんの手の中に突き入れるように、腰が勝手にゆらめく。肌触りのいい柔らかい布に包まれて、キツく扱かれると震えるくらいいい。
そのくらい興奮してるの。
「あ、あ、あ」
「汰由」
「あ、あぁ」
ゾクゾクってした。直に握り直されて、直に義信さんの手に可愛がられて、沁みをつけちゃうくらいにもう興奮をよだれみたいにこぼしてた。
手、気持ちいい。
長い指に先を擦られて、小さな口をその爪でカリカリと引っ掻かれて、それから、くびれのところから先端を包み込むように握られて。
「あ、ダメ、イク、イク、イっ、ク」
ビクビクって跳ねて、義信さんの手の中で。
「あっ……あぁっ……や、手、気持ち、ぃ、よ」
達した。
「あっ……」
大好きな人の手でイかされて、お腹の奥のところ、義信さんの、これが届く奥のところがきゅぅってする。
「あ、義信さん」
そのお腹のところを服越しに自分の手でぎゅっとしながら彼へと首を傾げて、唇を開いた。
「ン」
キスは舌を絡める濃厚でやらしいの。
「あっ……ン」
そのキスをしながら、乳首をキュッと抓られて、理性がチリチリ焼けてなくなる。
「口で……」
そして、手でいきり立つそれを撫でた。掌を引っ叩くように跳ねたそれに、また奥をキュンキュンさせながら、輪郭を確かめるように上下に撫でて。
「したい、です」
服の中に手を忍び込ませた。
熱くて、クラクラした。硬くて、ゾクゾクした。
「まだ僕はシャワーを浴びてないよ」
「や、いいから」
そして、今度は優しく「挨拶」のキスを唇にしてから、服越しに胸にもキスをして、その場にしゃがみ込んだ。
「わっ……」
下着ごとルームパンツをずり下げると、ぶるんって飛び出す義信さんのが頬に当たった。大きくて……口に入りきるわけないそれを。
「っ、汰由」
「あ……む」
口に含んで。唾液を絡めるようにしゃぶりつく。それから今度は絞り出すように頬で扱いで。頭を激しく上下させながら、先端の丸みをまるでアイスキャンディーみたいに舐めた。舐めて、口を離して、キスをして、それからまた口に含むと、気持ちいいって言ってくれてるみたいに頬の内側をペニスが柔く叩いて。
それが嬉しくて、たまらない。
義信さんが俺の口の中で気持ち良くなるの、好き。
もっと気持ち良くしたくて、丁寧に、大胆に唇で舌で頬で愛撫する。
「っ」
義信さんは洗面所の壁に背をついて、しゃぶりつく俺をじっと眺めて。大きな手でペニスを頬張ってるほっぺたを撫でてくれた。
「汰由、もう……」
や。
「汰由」
やだ。
「汰、」
「ワルイ子、だから」
口いっぱいに頬張ったまま見上げた。
「クチにらひて……」
咥えたままそうおねだりをして。
「っ」
舌の上で義信さんのがビクビク跳ねた瞬間。
「っ、ん、んんんっ」
ビュクリって義信さんのが口の中で暴れて。
「ん……ん」
「っ」
興奮、する。
義信さんが呼吸を乱して、舌の上で跳ねて、無防備な顔をしてくれる。俺の愛撫に夢中になってくれる。
「汰由、吐き出」
「ん……あ」
「……全く」
舌をべって出して、口の中にないことを見せると大きな溜め息を吐いた。
「そんなの飲んだらダメだろう?」
「や」
かっこいい腹筋にキスをしながら、首を横に振った。
「悪い子なんです」
「……」
「義信さんのこと、たくさん気持ち良くしたい」
「汰由」
「!」
「それは良い子、だよ」
軽々と俺のことを抱き上げてしまった。抱き上げて、たくさん上手に奉仕できた唇にご褒美のキスをくれる。
「すごく気持ち良かった」
「!」
「困るくらいにね」
濃厚で、やらしくて、幸せで、甘いキス。
「続きはベッドに行こう」
「義信さん」
「?」
「あの、ね」
そのキスで濡れた唇でそっと抱き上げられ、しがみつきながら、耳元でお願いをした。
「たくさん、したい、です」
そう、おねだりをした。
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