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セクシーメリークリスマス編 11 溺愛
心臓、止まっちゃうかもしれない。
ううん。爆発しちゃうかもしれない。
「これ……」
「僕のために?」
コクンと頷いた。
そして、義信さんのところから一歩下がって、離れたところで、おずおずとパジャマの裾を少しだけ捲り上げた。
わかんない。
どうやって見せたら、セクシーで、どういうふうにしたら義信さんのこと誘惑できるのかなんて。ちっともわかんなくて、こんな見せ方しかできなくて。
「ピ、ピンク、義信さんが似合ってるって言ってくれたから、その、リボンがピンクだったから」
まるで言い訳するみたいに、このランジェリーを選んだ理由を説明した。
多分、セクシーな大人はこんなの説明しないんだろうけど。
黒のレースが綺麗なデザインで、淡いピンク色のリボンが前にくっついていて、ヒラヒラとしたレースのフリルが腰を渡って後にいってる。それからのそのレースが二本お尻の左右を伝って、前につながって。
「うん。似合ってる」
「!」
そう言ってもらえただけで、ウロウロ、そわそわしていた気持ちが、パッと晴れやかになる。
「後ろ姿も見ていい?」
「あ、はいっ、あの」
さっき自分で確認した。後ろ姿、ちょっとすごくその、えっちで。
「あ、の……こう、なって、ます」
穴あきTバックって、説明のところに書いてあった、けど。穴っていうか、もう、これ、全然、何も隠せてない。お尻丸出しで。
顔、きっと真っ赤だ。蒸発しちゃうかもしれないくらいに熱い。
「困ったな」
「え、あ、あのっ」
「汰由がやらしくて、困った」
「!」
本当に? そう真っ赤なまま、ねだるように見つめると、義信さんが笑いながら頷いてくれた。そわそわしちゃって仕方なくて、手をどこに置いていたらカッコつくっていうか、変じゃないのかわからなくて、パジャマをぎゅっと握り締めたままだった。その手を引いて、また俺のことを引き寄せてくれる。
「よかった。嬉し……義信さんに喜んでもらえるかなって選んだんです」
腕の中に閉じ込めてもらいながら、ほぅって安堵の溜め息をついたら。頭のてっぺんにキスをしてくれた。腕の中から義信さんを見上げると、頬とか顎にも、あと首筋にキスをもらえる。まるでこのランジェリーを選んだご褒美みたいで、嬉しくて、義信さんの胸に額を擦り付けるように甘えた。
「あっ……ン、変、じゃない?」
「あぁ」
パジャマ捲りあげられて、背中から腰を手のひらで優しく撫でられながら。
「セクシーだ」
「ンっ、これ……っ、あの、義信さんに、その」
「大喜び」
「!」
「好きな子が自分のためにって、こんなセクシーな格好をしてくれて喜ばない男なんていないよ」
「!」
キュンってする。
「よ、しのぶさんの、今までの恋人はきっと大人っぽくて、セクシーだった、と思うから」
蕩けちゃいそう。
「俺、全然、子どもっぽくて、セクシーじゃないし。義信さんにしてみたら危なっかしくて、頼りないだろうけど、でも、っ、わぁぁ」
ぎゅっと抱き抱えられたままベッドに連れていかれた。強い力に連れられて、義信さんの上に跨るように座らされて。
「子どもっぽいなんて思ったことはないよ。むしろ、色っぽくて、まだ大学生なのに。これじゃあ悪い大人がちょっかい出してきそうで、いつも気が気じゃない」
「!」
「危なっかしいのは本当だけど」
「あっ、ごめ」
「そこも可愛い」
「!」
笑って、優しくキスをくれた。
「僕にはいくらでも頼って」
「あっ」
次は頬のキス。
「他にはダメ」
「ン」
弱くて敏感な首筋にも。
「聡衣くんと佳祐に相談してるのは、オーケー。二人が汰由を可愛がってくれてるから」
「あ、っ、このセクシーなの、下着、選んだのは俺だけど、なんかセクシーな格好とかしたら、喜んでくれるかもって教えてもらって、それで」
デレデレになって、顔、笑っちゃうくらいに蕩けさせられるかもしれないって言われたから。
「それは聡衣くんに感謝しなくちゃだ」
「!」
さすがに、蒲田さんがやってくれた顔にはならなかったけど。でも、すごく甘い笑顔。
「あと、今まで付き合った経験はあるけど、ここまで過保護になったことはないよ」
それは、俺が子どもっぽいから、じゃ、なくて?
「うーん、そうじゃない」
まるで俺の表情だけで思ったことを知られてしまったみたいに、義信さんが困った顔をした。
「大好きな子のことは大事にしたいし、かまいたいんだ」
「……ぁ、ン」
背中を撫でていた手がするすると腰をなぞって、そのまま、レースが伝うお尻を撫でた。
「それに、こんなふうに誘惑されると、今日はあまり」
「っ、ぅ……ン」
「余裕のある大人じゃないかもしれない」
ゾクゾク、する。
「明日」
「っ」
身体が熱くなって。
「せっかくのクリスマスだけど、ベッドから出られなかったら、ごめん」
奥がぎゅってした。
「いい、です」
義信さんに可愛がられたくて、奥が、ぎゅって、切なくなった。
「そっちの方がいい、です……」
だから、大好きな人にしがみつきながら、たくさんの中から選んだランジェリーを纏った身体で擦り寄った。
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