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9.*****

「芯····ねぇ、芯? ごめんね、優しくできなくて····」  気を失った芯の腰を支え、謝罪しながら芯のナカを僕で満たした。力なくベッドに横たわる芯。  事後処理をしながら、芯の身体をまじまじと見る。起きている時には見させてくれないから。  腰に、僕がつけたものとは違うアザがある。キスマークではない。また喧嘩だろうか。  僕達は、プライベートについてあまり話さない。特に理由は無ないが、おそらく“聞かれないから”だろう。  知っているのは、芯の進路が決まっていない事くらいだ。 ーーー  目を覚ました芯は、僕を視界に入れるなり罵ってくる。 「····変態過ぎんだよ、クソサイコ野郎が。ってぇ····マジでヤリすぎ。奥挿れたら腹痛てぇつってんじゃん」  口しか動かないのに強気で、生意気な芯が愛おしい。胸を掻きむしりたくなる衝動を、もう一度ナカにぶつけたい。 「ごめんね····。芯のナカが僕に絡みついて、凄く可愛くて、もっと深くに僕を刻みたかったんだ」 「言う事がいちいちキモいんだって。俺んナカとか知らねぇし····」  そう言って目を逸らすけど、耳まで真っ赤になって照れている。本当に、素直じゃないのは口だけだ。  そっと頬に指を這わすと、一瞬躊躇って手を払われる。髪を摘んで匂いを嗅ぐと、顔を背けて僕の指をすり抜ける。  つれない態度に、僕がどれほど心を痛めているか、芯には理解できないのだろう。だからいつまでも、反抗的な言動を平然と繰り返すのだ。 ーーー  僕は勇気を振り絞り、芯にアザの事を聞いてみる。踏み込んでくるなと、拒絶されたら立ち直れそうにない。 「あぁ、これ? ····ぶつけた」 「どこで?」 「どこでもいいだろ。先生には関係ねぇよ」  目を逸らした芯の、心の闇が垣間見えたようだった。これは、聞かなければならない。そう直感した。 「芯、関係ないなんて言わないで····」 「聞いてどうすんの?」 「芯が困ってるのなら助けたい」  僕の言葉を、芯は鼻で笑った。

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