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「芯、最近ちゃんと食べてる?」
「食ってる」
「でも吐いた時、胃液しか出てないよ。それに····痩せたよね」
先生が俺の腰に手を添える。心配されてんのか、憐れまれてんのか分かんねぇ。悔しいのかムカつくのかも分かんねぇ。
先生への苛立ちが募っていく。けど、手を出してこないコイツを殴るワケにもいかない。
「食ってるって。食って吐かされんの、マジでしんどいんだよ。だから昼だけ抜いてる」
嘘だ。最近は、夜にコンビニ弁当しか食ってない。バイトもしてないし、流石に金がない。それに、食っても美味くねぇから食う気がしない。
先生には何度か飯に誘われたけど、めんどくせぇから断り続けてる。けど、タダ飯食えんならいいかもって思うようになってきた。
ったく、プライドもくそもねぇな。
「そんな事するんだったら、もう吐かさないよ。だから、ご飯はちゃんと食べなさい」
また先生面かよ。大人は勝手なことばかり言うからムカつく。
「ははっ。先生さ、俺ん家の事 情 知ってんだろ? 金無いの。そうだ、何か食わせてよ。て言うか、抱かせてやってんだから金──」
勢いに任せて言ってやろうと思った。なのに、先生は見た事もないくらい悲しそうな顔で、俺の口を塞いだ。
身構えてなかったから、その勢いのままベッドに倒れ込む。力いっぱい押さえつけられて顎が痛い。弱そうなクセに、なんつぅ力してんだよ。
「芯、本気で言ってる? 僕に抱かれて、見返りにお金欲しい?」
顔が熱くなって、小さく首を横に振る。先生と目を合わせらんねぇ。先生が怒ってんのか悲しんでんのかは分かんねぇけど、言ったらダメな事だったのは分かる。
「ねぇ芯、僕の家に来る? 何もシないなんて約束はできないけど」
ド直球な誘いに驚いて、思わず目を見れた。けど、さっきとは全然違う、男の顔をしている。
なんで先生のこういう顔を見るとケツが疼くんだよ。俺のカラダも気持ち悪 ぃ。
「いいよ。飯食わしてくれんなら、何シても」
たぶん、こう言うと先生は何もシてこないだろう。だって“先生”だから。
先生が“先生”である事をやめない限り、俺は『先生』と呼ぶ。一人の男としては見てやらない。ヤッてる最中も、どんだけ変態でもコイツは“先生”だ。
「するよ。ご飯食べたら一緒にお風呂に入って、芯を犯して家には帰さない」
「マジかよ。先生さ、悪い大人だね」
俺が煽ると、少しだけ“先生”の皮が剥げる。それが楽しくて、つい揶揄うような事を言っちまう。けど、先生の本性がわからなくて、ぶっちゃけ不安しかない。
それでも、目先の欲に負けてのこのこ家について来た俺。バカじゃん。何が起きても自業自得だわ。
もし先生の素が、猟奇的な鬼畜変態野郎だったらヤバイな。もしかして俺、生きて帰れねぇんじゃねぇの? ちょっと早まったかな····。
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