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15.*****

 芯に『悪い大人』と言われ、胃の辺りが熱くなった。言われなくとも、そんな事はとっくに理解している。芯が僕の家の玄関に立っているだけで、吐きそうなくらい昂っているのだから。  けれど、多少の後悔も燻っている。ついに生徒()を家に連れ込んだ挙句、帰さないと宣言してしまった。段々と、僕の化けの皮が剥がれてゆく。芯が卒業するまで、教師の仮面を脱ぐわけにはいかないのに。  それに、素行の悪さをどうにかしなければならない。このままでは、きっとロクな人生を歩まないだろう。僕が囲う予定ではあるけれど、外の世界のイイ所も見せてあげたい。“先生”から逸脱した僕が言うのもナンだけど。  簡素な食事をしながら、意を決して踏み込んでみる。芯の顔色を窺いながら、失敗しないように気をつけなければならない。 「ねぇ、芯····。芯の家の事、聞いてもいい?」 「いいけど、楽しい話じゃないの知ってんだろ? 聞いてどうすんの?」 「僕が······」  僕は、言葉を飲んだ。まだ、それを言うには早い。芯が心まで僕に堕ちるまで待たなくては。  反抗的な芯が、僕の言葉を素直に受け取るはずなどないのだから。 「僕にできる事があるなら、芯の力になりたい」 「“先生”に何ができんだよ。つぅか別に困ってねぇし」 「こうして、ご飯を食べに来てくれたらいいでしょ。毎日でもいいよ」 「それってもう一緒に住んでるみたいじゃん。恋人ごっこかよ」  心臓に、穿(つらぬ)かれたような痛みが走った。僕の想いも努力も配慮も我慢も否定された、そんな感覚だ。 「ごっこでもいいよ。芯が僕のモノであるなら」  平静を装い、強がりを放つ。上手く笑えているだろうか。  本当は、今すぐベッドに四肢を縛り付けて、酷く犯し潰したい。僕を傷つける言葉を放たないように躾てしまおうか。いっそ、わんわん泣いて気を失った芯を、朝まで痛めつけて傷つけたい。  けれど、それではダメなんだ。僕は、芯を壊したいわけじゃないのだから。  僕の心中なんて知る由もない芯は、安易に僕を煽る。普段なら愛らしくて仕方のない減らず口も、今は憎くらして仕方がない。 「飯食わしてくれんなら一緒に住んでもいいよ。家に帰んなくても、どうせ誰も気づかないだろうし」  極上の上手い話だ。芯の悪戯な誘いに乗っていいのだろうか。僕を利用しようとしているだけなのは分かっている。  けれど、これほど甘い誘惑には勝てない。 「はは。3食セックス付き。優良物件でしょ」  煽り返せただろうか。僕が誘惑に負けたなんて知ったら、芯を図に乗らせてしまう。それだけはダメだ。 「いいね。俺、最近ケツも良くなってきたからさ、抱かれてあげる」  箸をテーブルに転がし、僕の膝の上に座った。そして、芯は僕の肩に手を乗せ、腕を絡めて首を抱き寄せる。これが芯の甘え方なのだろうか。下手くそな演技だ。 「芯、お風呂に入ろうか。それと、明日からは僕が綺麗にしてあげるね」  本心では無い言葉を、何ともない表情(かお)で紡ぐ芯。僕はひとつひとつ探りながら、芯の本心を見つけなければならない。  まずは、僕に抱かれるのなんて本意ではない事。安易に身体()を求めれば、どういう事になるのか思い知らせよう。  一緒に風呂に入り、湯船に浸かりながら芯を犯す。浴槽の縁にしがみつき、溺れないよう必死に身体を支える芯。そんな芯の頭にシャワーを浴びせる。  時折、水を飲んで苦しそうに咳込む。それに合わせて締まるのがイイ刺激になる。  風呂場の床を見つめる芯の、白くて細い項に噛みつく。シャワーで溺れそうになりながら、芯は痛みに悶えてイッた。  湯船を漂う芯の精液を、クラゲみたいだと揶揄すると、力無く『気持ち悪····』と言って笑われた。  立てなくなった芯をベッドに運び、いよいよ本番のセックスを始める。

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