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31.*****

 名前を呼ばれ、呼吸困難に陥った僕の口を、奏斗さんは容赦なく犯す。鬼畜の所業だとは思わない。こんなの、まだまだ甘いほうだ。  僕の前髪を鷲掴み、壁に追い込んで喉奥まで押し込む。窓枠に片手を掛け、喉を壊す勢いで使う。息ができない。逃げられもしない。  あぁ、芯が僕を心配してくれている。目に沢山涙を溜めて、無意味に奏斗さんを睨む。そんな事をしても、奏斗さんは気にも留めないのに。 「顎はずしていい? 根元まで挿れるよ」 「んぅーっ、ぇ゙ぁ゙、あ゙ッッ!!」  喉の奥を強引に開くと、根元までねじ込んだ。同時に、ガゴッっと鈍い音が脳に響く。顎の外れる音だ。  芯が激昂しているが、奏斗さんは振り向きすらしない。劈くような痛みが走る。おかげで、息をする事ができた。  そして、痺れた脳で感じるそれは、僕のペニスを勃たせる快感にすぎなかった。痛みと快感の繋げ方は、嫌というほど身体が覚えている。    小便を漏らし、顔から出る汁を溢れさせ、まるでさっきまでの芯の様だ。こんな姿を見てなお、僕を自分のものだと訴えてくれている芯。  真意は分からないが嬉しい。どうやら、僕の心は芯に根付いていたらしい。奏斗さんの懐かしい責めに、反応するのは身体だけだ。  奏斗さんは、僕の顎を嵌めると、所謂チングリ返しの体勢にして足首を持って上から突き挿す。痛みと嫌悪感で、込み上げるものを飲み込めなかった。 「かはっ····ゔぇ゙ぇぇ······」 「あぁ、痛い? でも好きだったよね。解さないで挿れられるの。使ってもらってるって感じがイイんだっけ? ホント、イカれたドMに仕上がってたよね」  奏斗さんが、強引に奥を開こうとする。まだ、入り口の痛みも和らがないうちから、腹の奥にも鈍痛が響く。全身が痛い。それなのに、僕はとぷとぷと精液を溢れさせる。  心では拒絶し続けているのに、身体はどこまでも快楽に溺れてゆく。奥を貫かれた瞬間、脳内に火花が散ったような衝撃で意識を失った。  その直後、腹の底に焼け爛れそうな熱を感じ、無理矢理に意識を引き戻される。僕が小さな嬌声を零していると、結腸口にカリを引っ掛けて扱き始めた。痛みの中に、奏斗さんの形を感じてしまう。  奏斗さんの、長い上に肉厚でカリ高なペニス。改造でもしているのかと思うほど、美しく凶悪な形をしている。    僕を四つ這いにして、雑で乱暴な、イク為のピストンが始まった。遅漏の奏斗さんはそこからが長い。僕が何度イッても、潮がベッドに噴射されても、興味を持たずにひたすら突き続ける。  そして、漸くイク間際、強烈なスパンキングを食らう。部屋に響く、破裂音の様な甲高い音。芯が喚く声も遠退き、それだけが僕の耳にこだまする。  臀部に叩き込まれる痛みと快感が、僕の脳を焼き切ってしまいそうだ。きっと、芯がこの場に居なければ僕は、再び奏斗さんに堕ちていただろう。 「先生!」  芯の声が耳を抜ける。パッと芯を見ると、強い眼差しで僕を真っ直ぐ見据えてる。まるで『負けるな』と言われているようで、それを見てにへらと笑みが零れた。 「芯····愛してるよ。僕は··もう····芯のモノだ!」  僕は芯に愛を告げると振り向き、奏斗さんを真っ直ぐに見て言った。 「愛····フッ··。骨の髄まで俺に染められて、よくそんな事が言えるねぇ。でも··残念。お前は俺の玩具(もの)だよ。····一生、ね」  奏斗さんが激しさを増す。生温(なまぬる)い玩具遊びから、僕を再び支配する為の調教が始まった。 「俺さ、お前じゃないと満足できないんだよ。他のどんなオモチャでも満たされなかった····」  今更そんな甘い言葉を囁かれたとて、僕の心は芯で満たされている。 「なぁ、あんなガキ抱いても満足できないだろ? もう1回飼ってやるから··戻ってこい」  貴方が捨てたクセに····。  頬に柔らかいキスを這わせながら言葉を吐く。傲慢な低語だ。  僕は、はき違えて大切に抱き締めていた愛が、ただの偶像だったと思い知ったところなのだ。もう騙されない。  そう思った矢先、奏斗さんは縛った僕の手首を持ち、逃げられないように強く引いた。そして、お尻を開いて限界まで奥を抉る。 「んあ゙ぁ゙ぁ゙っ!!? 奏斗さんダメッ!! そこもう入んないぃっ!!」 「入るよ。もっと奥ッ」 「い゙あ゙ぁ゙ぁっ!! むり゙····お(にゃが)··裂げる゙ぅ゙··ぅぇ゙····」 「あはぁっ♡ んっとに結腸好きだね。すぅっごい····俺のちんこ抱き締めて必死だな。ほら、ちんこ離せよ」  ずろろろっと腰を引くと、再び同じ所を抉った。もう、声が出ない。目の前が真っ白になり、延々と与えられる快感に身を委ねてしまう。  高速で何度もそこを責められる。僕のペニスからは、既に何も出ない。ドライでイキ続けるにも限界だ。  何度も意識を飛ばしかけては、その度に痛い快感を叩き込まれる。失神すらさせてもらえない。  奏斗さんの薄ら笑いが微かに聞こえ、腹を灼く業火の如く、熱く濁った劣情を流し込まれた。

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